4、塾帰りの道



 小学生のころ、塾の帰り道を一人で歩いていた。

 夜の道は暗く、ポツポツと並ぶ街灯だけが頼りだった。


 ある雨の夜、ふと一つの街灯がチカチカと点滅した。

 私は立ち止まり、じっと見た。

 はっきりとは見えないけれど、チカチカと点滅している街灯の下に立つ女の影があった。

 長い髪を垂らし、うつむいていて顔は見えない。けれど確かに「大人の女」だった。

 その女の人は普通ではないと思った。なぜなら、その女の人はたてに引きのばしたかのようにみょーんと長いのだ。

 大人の男の人よりたてに大きい。そして、とてもほそい顔と体。


 心臓がドクンと大きく鳴り、私は走って逃げた。

 それ以来、その道を通らずに遠回りして帰ることにした。

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