第15章:完結の時
第15章:完結の時
戦いが終わり、村は再び静けさを取り戻した。陸は完全に狼の力を封じることができたが、それと引き換えに、彼の中にあった「非人間的な力」は消えてしまった。
「もう、普通の人間になったんだな。」陸は咲の肩に頭を乗せながら、静かに言った。
咲は微笑んで答える。「普通でも、特別でも、私はあなたが大好きよ。」
二人は手を取り合い、村の広場で夕日を見つめた。あの伝説の狼が現れることは二度とないだろう。村も、二人も、そして陸も、ようやく運命から解放され、新たな未来へと歩き出すことができた。
「これからは、私たちの力で未来を作ろう。」咲は陸を見つめながら言った。
「うん、君となら、どんな未来でも。」陸は微笑みながら答えた。
そして二人は、共に歩んでいく。狼の神としてではなく、ただの人間として、ただ一人の愛する者と共に。
エピローグ
年月が流れ、村はまた平穏無事な日々を迎えた。陸と咲は結婚し、家族を持ち、村の中心となる存在となっていった。伝説は過去のものとなり、やがて誰もが二人をただの「人間」として、愛し、尊敬していた。
「ねえ、陸。」咲は夕暮れ時、二人の家の前で微笑みながら言った。
「うん?」陸が振り向くと、咲は優しく笑った。「あなたは本当に、普通の人間になったんだね。」
陸はにっこりと笑って答えた。「うん。でも、それが一番幸せなことだと思うよ。」
そして二人は手をつないで、夕日の中を歩きながら、未来を信じて進んでいった。
狼の涙、初恋の約束 @black_wolf_1
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