第14章:覚醒と決断

第14章:覚醒と決断

戦いの最中、陸は自分の中に眠っていた狼の力を呼び覚ます。以前のように暴走せず、完全にコントロールすることができるようになっていた。それでも、その力を振るうたびに、咲の顔が浮かぶ。彼女を守るために戦わなければならないという覚悟が、どんどん強くなっていく。

「これで最後だ。」陸は深い息をつき、咲に振り返った。「俺は、今度こそこの力を封じる。」

咲はその言葉を聞いて、怖さとともに胸が熱くなる。陸がその力を完全に封じた後、彼がどんな人生を歩むのか――それが決まる瞬間が近づいていた。

そして、戦いが終わった時、陸はついに「暗黒の狼」を倒した。だが、その代償として、彼の力は完全に消え去り、永遠に封じられることになった。

「これで終わった…。」陸は肩で息をしながら、倒れ込むように地面に膝をつく。

咲は駆け寄り、彼の肩を支えた。「あなたが戦ってくれたから、村は守られた。そして私たちの未来も、これで守られたんだよ。」

陸は弱々しく笑い、「ありがとう、咲。」と答えた。

その時、村の人々が集まってきて、二人を囲む。村の長老が前に出てきて、静かな声で言った。

「陸、お前はこの村の本当の守り神だ。お前が犠牲を払ってくれたからこそ、今、ここに平和がある。我々は、お前を永遠に忘れない。」

その言葉に、陸は涙を浮かべながらうなずいた。彼が守ったのは、ただの村だけではなかった。咲との愛、そして自分自身の運命を超えて、彼の中にあった「人間らしさ」を守ったのだ。

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