私は文字を書けた。もはや私はノートを書くのに鉛筆は必要ない。なぜなら私の行動は、考えは、すべてが日記に書かれていたからだ。私は日記。文字に従っている。いや、文字が私なのかもしれない。これは私自身が書いたものなのか。でも、それは違う。なぜなら、今この瞬間も文字が書かれ続けているのだからだ。


私は自分の日記を読んでみた。ここには私が書かれている。不思議なことに、日記は、今この瞬間のことまで書かれ始めていた。もはや私に鉛筆は必要ない。だから、この日記は私が今見ているこの状況を正確に描写していて、そこに私がいた。


私はここに書かれている私なのか、それともこれは私で作り出した文章として生きているのか。


長い間、私は無視されて生きてきた。誰からも相手にされず、時には邪魔なものとして扱われて、誰からもまともに扱われない存在として。そんな私だからだろうか、この日記こそが私について世界についてを教えてくれた。いや、違うのかもしれない。私は気がついたのだ。私は書かれている存在かもしれない、と。私が日記を書くように、私は書かれている。私のすべての言動、思考、感情は文字によって生み出されている。私は文字で文章によって構成されている。だとすれば、この言葉を読んでいる私もまた、誰かに読まれているのかもしれない。だとすれば私の人生は誰かの物語の一部なのかもしれない。だから今、私はあなたに問いかける。あなたはどんな物語を生きているのか?そしてその物語は、誰が読んでいるのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

速水静香 @fdtwete45

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画