瑠世、拒絶される

 数か月が経った頃、はじめは言った。

「瑠世,そろそろ13番地から出てみない?うちの近くとかさ!」

「えー?でも怒られない?」

「ダイジョブダイジョブ!怒らられそうなら逃げちゃえばいいから~!」

 そうしてふたりははじめの住む町に向かった。


 町に着くと瑠世がその蒼い眼をきらっきらと輝かせ始めた。

「ねえ!はじめ!あれなに⁉」

「あ、あれは八百屋だな。野菜とか果物とか売ってるんだ!買うか?」

 瑠世は取れるんじゃないかと心配になるくらい首を縦に振った。

「おじさん!いっちばん新鮮な果物頂戴!」

「おう、よく来たな!はじめ!ん?なんだ友達か?」

 八百屋の店主が尋ねると瑠世は店主の方を見て言った。

 いや、言う前におじさんが腰を抜かした。

「おいおじさん!大丈夫かよ!」

 はじめはおじさんを立ち上がらせようと近寄った。

「おおおおい!近寄らないでくれ!なんだお前は!」

 おじさんは、はじめに――ではなく瑠世に言った。

 

 それから瑠世は十分に楽しめていないように見えた。

 しかしはじめはなんと声をかけていいかわからなかった。

 その日はそのまま解散となった。

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