仲良くなるにはひたすらに話すこと
次の日も森まで行った。今日はなんとお菓子を持っていくのだ。
「この前はあの子に助けてもらったし今度はぼくがお返ししなきゃ」
とことこと歩いているとようやく13番地が見えた。
「たしかあの子の家は…」
そういって家のドアベルを鳴らした。
「はい…」
ドアを開けたのは確かにあの子だった。
「あ、こんにちは!この前は助けてくれてありがとう!お礼がしたくてお菓子を持ってきたんだけど一緒に食べない?」
別に全部あげると自分が食べられないからシェアしようとしたわけではない。決してそんなことはない。
当の本人はドアオープンからのマシンガントークで放心状態になっているが。
「いい?ありがと!じゃあお邪魔しまーす!」
はじめはこういう子なんです。
「えっと、名前は?」
呼ばれてようやく状況を理解した子供は振り向いた。その蒼い眼が光に反射して美しく光る。はじめが見とれていると自己紹介を始めた。
「ぼくの名前はりゅうせい、治薩栖瑠世(ちなすりゅうせい)」
二人の間に沈黙が流れる。
「えっ?それだけ?」「いやだって何言えばいいかわかんないし」「それにしたってほかにあるでしょ、すきな食べ物とか」「おいしいもの全般」「あ、おなじ」
二人はまるで初対面じゃないかのように意気投合した。
タイプの異性の話では大喧嘩になったが。
「いーや分かってないね!本来はしっかりしているはずの年上という存在がふと見せる弱い所にギャップを感じていいんじゃないか!」「何を言ってるんだい!年下のくせに普段は生意気な態度をとる後輩に好意を匂わせたとき反射的にキョどるのが一番に決まっているだろう!」あー、なんていうか、まるで8歳じゃないみたいだなぁ。
そんなこんなで二人は大親友となった。いまでもはじめは悪いことをすると13番地に連れていかれると言われるのでそんな親には一切話さなかったが。
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