幸せ
αβーアルファベーター
幸せってなんだろう
幸せ
❀✿❀
「幸せ」って、「−」《マイナス》なことをすると、「辛い」ことに変わるってひとは言うけれど、
まだ「+」《プラス》を探すため
「立」ち上がれるから
「辛い」って言うんじゃないかな?
だから僕は思う。
過ちを犯しても過去は「戻」らない。
でも辛くて流した「涙」の価値は、
戻ってくると、信じてる
❀✿❀
「幸せ」の本当の意味は
生きてることだと僕は思う。
その理由は「−」《マイナス》「立」「+」《プラス》で構成された、「幸」の字。「−」《マイナス》と「+」《プラス》で
成り「立」つ。って、
人生そのもの。だからこそ、
「−」《マイナス》を悪く思わないでほしい。
それもあなたを彩る、人生の欠片だから。
そしてこれは、あなたに贈る物語
❀✿❀
――その世界は、灰色だった。
空は厚い雲に覆われ、
森は枯れ木のように沈黙し、
鳥たちの歌声すら響かない。
人々は皆、笑うことを忘れていた。
「幸せを求めるなら、負の感情を捨てよ」
それが、
この国の王が定めた唯一の掟だった。
悲しみ、怒り、孤独。
すべて禁じられ、
口にした者は闇牢に囚われる。
そんな国に、ひとりの旅人が現れた。
名はリオ。剣も魔法も持たない青年で、
古びた日記帳を大切に抱えていた。
ある日、
リオは路地裏で泣いている少女に出会う。
「どうして泣いているんだ?」
少女は震える声で答える。
「お母さんが牢に入れられたの。
……悲しいって言ったから」
リオは静かに日記帳を開き、少女に見せた。
そこには、旅の記録が綴られていた。
喜びの思い出の隣に、
痛みや別れの言葉が並んでいる。
「見てごらん。
楽しいことも、苦しいことも、
どちらも僕にとって大切なんだ」
少女は首をかしげる。
「……でも、悲しいときに、
どうして幸せを感じられるの?」
リオは微笑んだ。
「悲しみを知っているからこそ、
喜びを“光”として感じられるんだ。
“−”《マイナス》があるから、“+”《プラス》が輝く。
それが、ほんとうの幸せだと僕は思う」
少女は涙を拭い、小さく笑った。
その瞬間、彼女の周りの景色に色が差した。
灰色だった花が赤や青に咲き誇り、
空が蒼く晴れ渡り、
鳥たちが囀りを取り戻す。
村人たちも気づき始める。
押し殺した“−”《マイナス》を抱きしめたとき、
“+”《プラス》は初めて本物になるのだと。
やがて国を覆う灰色は解け、
世界は虹色の光に包まれていった。
リオは日記帳を閉じ、静かに旅立つ。
――幸せとは、
光と影の両方を抱いた心にしか、
咲かない花だった。
❀✿❀
幸せ αβーアルファベーター @alphado
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