第10話 My foolish heart

ビル・エヴァンスの

My foolish heart という曲がある。

2曲目に習った歌だ。

その曲にはとても思い入れがある。

その曲をライヴという名の発表会で歌う時に、曲紹介として、私の体験と歌詞の解説、自分のコンセプト、というのか、この歌を歌う事へのスタンスみたいなのを、文章にした。

書いたら、どうも長すぎたらしく「短めに」と釘を刺されたため、削りに削った。

なので、その全文を今こそここで!

ということで。


My foolish heart

この歌は、恋に溺れそうな自分に、気を付けて。と言っている。take care my foolish heart

甘い夜に溺れてしまいそう

だから、ねぇ、気を付けて

愛と、魅了される事は、違う

そこには、境界線がある

だけど、とても近い感覚を生む

魔法の様なキスで、見失ってしまう

だから、気を付けて、私の愚かな心


My foolish heart

私の愚かな心、と訳される。

だけど私は、未熟な心だと捉えている。

未熟な自分に気を付けてと言い聞かせる。

今まで何度も希望を抱いては消えて行った

そしてまた、傷付くのかもしれない

信じる事の怖さ

だけど今度こそ

消失してしまう夢幻では無いと、

信じたい。It’s love this time it’s love

これは愛だと、今度こそ。

そう、自分に言い聞かせている。


師曰く(私の先生なので子では無く師)

甘い雰囲気にフラフラっと行ってしまうバカな私。

でもそんな人間的な心の揺らぎを

「ねぇ、そんな所も、そんな自分ってなんか、可愛いじゃない」

それを聞いた時から私にとってのこの歌の価値が変わった。価値?いや、この歌の景色が変わった。


明日を夢見て今日に絶望するような日々に生きていて、いろんな事に振り回されて、自分が迷子になって行く。

そして、自己嫌悪自己否定罪悪感に沈んでいく。

そんな人生の一つ一つのページ、

愚かに見える場面も、

「ねぇ、そんな自分も可愛いじゃない」

そう言って許された気がした。


未熟だから失敗する。

それを重ねて、少しずつ成長していくんじゃないかな。

それは、罪ではないし、嫌いにならなくて良いし、否定する事だってない。

ばかだな、ダメだなと、思ってしまうけれど、

そんな自分も可愛いじゃない

そうやって自分を抱きしめて、

笑ってあげられる

許してあげていい

自分を愛する事

This time it’s love

だからもう一度信じてみても良いんじゃないか。

と思わせてくれる。

私にはそんな歌なのです。


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