第7話 「結婚破棄の余波と新たな道」
朝の光が、セシリアの寝室に柔らかく差し込む。
「おはようございます、セシリア様」
私の一番信頼しているメイド、エリナが部屋へ入ってくる。
「昨夜の件、大丈夫でしたか?」
「心配してくれてありがとう。まぁ色々あったわ……」
セリシアは柔らかく微笑む。
『昨夜の件、お父様たちに話すのが怖すぎる。きっとお怒りね』
朝食は自室で済ませ父のいる書斎へ重い足取りで向かう。
「……お父様、昨夜の件ですが」
セシリアは静かに語りだした。アルベルトによる一方的な婚約破棄。そしてノア・クロフォードからの婚約の提案。
「隣国へ行くことも含まれますが、国のためにも私はこの婚約を受け入れたいと考えております」
父は厳しい眼差しでセシリアを見つめ、拳を握る。
「一方的に捨てられたお前を父として許せぬ。___しかし、お前が望む道なら私は背を押そう」
「……お姉さま、本当に行ってしまうの?」
後ろを振り返ると、弟と母が立っていた。
セシリアは弟の頭を撫でる。
「レオ、大丈夫。私は強く生きるわ。悲しくなるけどもう会えないわけではないから。」
母は涙を堪えながら微笑み手を握った。
『私の選んだ道……必ず正しかったと証明してみせる。』
__その頃王宮では広間に重々しい空気が満ちていた。
国王は玉座に座り鋭い眼差しでアルベルトとリリアへ向ける。
「アルベルト、婚約破棄とは何事だ!!!!国家を左右する縁組を己の感情で壊すとは愚かしい!」
「父上……っ」
アルベルトは言葉を詰まらせる。
一方のリリアは勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
「陛下、ご安心くださいませ。私とアルベルト様であれば、必ず国に貢献してみせます。」
「そうですよ。父上、セシリアはリリアが元々平民というだけでひどい扱いをしてきました。他の生徒の前でリリアを罵り、恥をかかせていた。そんな人がこの国の上に立つ人間のすることだとお思いですか?心の優しいリリアのほうが相応しいと思っています。」
国王の怒声が広間を揺らした。
「アルベルト……お前は全然婚約者のことを知らんようだな、ロザリンド嬢がどれほど国のために尽くしてきたかを知らぬのか!彼女は誇りを持ち、身を削って働いてきた。お前たちの軽薄な振る舞いとは違う!」
リリアの笑みが引きつり、苛立ちが胸を焦がす。
(またセシリア……!どうしていつもあの女ばかり……!)
国王の嘆きはやがてため息となり広間を冷たい沈黙が包み込んだ。
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