広間の扉が静かに閉まった瞬間、空気は冷たく沈黙に包まれた。

庭園に出ると夜風が心地いい。

セリシア・ロザリンドは、銀色の髪を軽く揺らしながら歩く。紫色の瞳は夜の光を受けて淡く輝き、その端正な顔立ちと優雅な立ち姿はまるで絵に描いたように完璧だった。

＿＿前世では、この瞬間が来るなんて想像もしなかった。

「……落ち着かれましたか？」

ノア・クロフォードの声が静かに響く。青い瞳に映るセリシアの姿は、冷たくもありしかし芯のある女性として彼の心を引き寄せる。

「はい、殿下……改めてよろしくお願いいたします。」

前世で知っていた王太子の孤高さや孤独が今の彼の目にも垣間見える。

「まさか、あんなすんなりと受け入れてくださるとは…」

「私なりに色々考え出した答えです。」

「殿下、ロザリンド嬢に対して……少し気を抜かないほうが……」

後ろからノア殿下の従者、カイル・アーデンが小声で言う。

『まぁ従者が警戒するのも仕方ないよね、私の国と隣国のノルディアはあまり外交も盛んではないしあまり仲も良くないと聞いたことがあるし』

「心配無用だ、カイル。私は自分の判断に従う」

ノアの替えは冷静だが、内心ではほんのわずかに胸をくすぐられていた。

その三人の様子を遠くから見つめる影……

「あの、笑み…絶対に許せない…」

平民出身で皇族気分に浸るリリアは嫉妬と怒りで胸を焦がしていた。

嫉妬の炎がこれからの波乱を予感させていた。

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