第5話 「新たな物語の始まり」

「__ノア殿下。もしも私が、隣に立つことで、貴方の力になれるのなら……

喜んでお引き受けいたしますわ。」


「……そうか。まさか即答とは……いや、君はやはり面白い」



「……殿下、本気で仰ってるんですね……」

(こんなに早く……まだ、この人がどういう人かも見えてないのに)


「カイル。私が心を動かされたんだ。それで十分だろう?」


「……殿下がそこまで仰るなら。」



「まぁ……セリシア様、本当に受けちゃったのね。婚約破棄されたばかりなのにそんな急に、婚約を受けるなんて……セリシア様って、意外と大胆なんですね……」


「未来を選ぶのに、時間は関係ありませんもの。それに人の婚約者に手を出す貴女のほうが大胆だと思いますけど。」


リリアは顔が引きつりながらも精一杯の笑顔でセリシアを見つめる。

(ちょっと目立ってるからって調子乗らないで……!)

(私は、まだ諦めてない。ノア様の心奪ってやる)


静かに、ただ静かに火花が散った。

セリシアは決意を秘めて真っすぐにノアの隣へと歩き出す。


____これは、セリシアの新たな“物語”の始まりだ。

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