第4話 「悪役令嬢の決断」

「あれがノア殿下の笑顔……!?」

「見間違えじゃないのか……!?」

「彼が、笑ったんだぞ……!」


「……うそ。ノア殿下が……あんな風に微笑むなんて……!しかも、それを引き出したのがセリシア……?」


アルベルト様の隣に立っているリリアさえも驚いた顔をしている。


「……っ!で、殿下、理由をお聞かせください……っ」


「理由が必要かな?君を見て、面白いと思った。それだけでは足りないか?」


「私は……貴方様のような方と、並び立つには……相応しくないかと…っ」

 顔が熱い...

 こんなことを言われたのは人生で初めてだ。


(なに、これ……!?どうしてノア様が……あんな女に……!!私の方が相応しいのに。ノア様の横に立つのは、私のはず……あの女さえいなければ__)



その瞬間、広間に漂う空気が微かに揺れた。

誰もがノアの笑みに息をのみ、そしてセリシアという女性に視線を奪われていた。


「焦らなくていい、ただ、少し……考えてくれればそれでいい」


「……いえ、もう決めました。」

 ここは私の好きなセシリアらしく。


 一瞬、時が止まったように感じた。

 誰もが、その返答に息を呑む。

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