第3話 「氷の王太子と悪役令嬢」
その男、銀髪碧眼の隣国の王太子__ノア・クロフォード。
(これが“悪役令嬢と噂されていた女性か。噂と、まるで違う)
「……面白い。貴女のような女性、初めてだ__」
(静かに一歩、彼女の前に進み出る)
「我が国の未来の王妃として、私の隣に立ってみる気はあるかい?」
その言葉に、広間の空気が一瞬にして変わった。
「殿下……っ!?それは、さすがに……っ。
あまりに唐突すぎます……!」
「静かに、カイル。私は本気で言っている。」
「氷の王太子が……誰かに興味を?それに、笑っている…!?
「まさか……婚約を申し出るなんて」
隣国の王太子の突然の婚約申し出に広間はざわついている。
『この髪……この瞳…… __まさか、ノア・クロフォード!?』
あの小説の中では、ほんの数ページしか登場しなかったはずの、隣国の王太子……
でもそのほんの少しの描写で私は彼に妙な印象を抱いていた。 寡黙で無愛想__なのに、どこか人を見透かすような知性と冷静さ。 それに彼は誰にも心を許さない存在だった
「な、なぜ……私に、そんなことを?」
その混乱を隠すようにセリシアは静かに背筋を伸ばす。
だが、動揺は瞳の奥に宿っていた。
「……驚いた顔も、また悪くない」
その柔らかな微笑__
氷の王太子と呼ばれる男が、初めて人前で見せた“表情”だった。
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