第10章 花純の気持ち
ドサッ。
私はベッドから落ちた痛みで目を覚ました。
外からはチュンチュンという陽気な鳥のさえずりが聞こえてくる。
あれっ?ニナは?どうなったの?大丈夫だった?
私は目の前の平和な光景に頭が混乱した。
……もしかして、もしかして今のは夢だった……?
私は慌ててスマホを起動させる。
そして、メッセージアプリのアイコンをタップした。
すると。ニナから短いメッセージが届いていた。
「Hi, Kasumi! How are you today? I’d be happy to see you again! (こんにちは、花純!今日は元気にしてる?また会えたら嬉しいよ!)」
私はそのメッセージを見て、肩の力が抜ける。
ハァァァァ。良かった……。あれが現実じゃなくて。
安心感が体の中に広がっていく。
私はつい先ほどまでの夢を思い出した。
最初は英語がなくなってすごく嬉しかったし、喜んでたけど。
終盤私が英語をできないだけであんなに悔しい思いをすることもあるんだ……。
それに、後で気づいたんだけど、左は「ライト」じゃなくて「レフト」だ。
あそこで私が間違えたから、最悪の状況になっちゃったんだ。
もし、本当に現実だったら、私のせいでニナは……。
そう考えるとゾッとする。
本当にこれが夢で良かった。
……それにいつもお母さんに言われてた「英語が役立つ」っていう意味も初めて本当にわかった気がする。
と、ふと机の上に置いてあった宿題の英語のドリルが目に入った。
私は少し考えて、英語のドリルを開く。
……やっぱり、英語は好きにはなれないけど。
ちょっとは勉強しようかな……。
……もうあんな思いはしたくないから。
そうして、部屋の中に爽やかな風が吹くなか、私は少しずつ鉛筆を動かしていった。
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