第6章 一本の電話
次の日。
世界から英語が消えて2日目。
今日は休日で学校は休みだ。
だから、家ですごくダラダラして過ごしてる。
相変わらず世界から英語が消えたままだけど。
今のところは何の不自由もなく生活できてる。
やっぱり、英語がなくても生きていけるじゃん!
私は清々しい気持ちで、窓の外を見つめた。
と、そのとき。
プルルルル。
私のスマホに電話がかかってきた。
私は誰だろうと思いながら、スマホの画面を見る。
すると。
着信相手に「ニナ」と表示されていた。
「うわっ!ニナだ!なつかしい!」
ニナは1年前にアメリカから日本に留学にきていた女の子。
ちょうどそのときに、たまたま私の家がニナのホームステイ先に選ばれて、一緒に数ヶ月の間住んでいたんだ!
ニナは私が英語を嫌いなことを知っていて。
だから、私に対しては簡単な英語を使って話してくれる。
……そんなニナがどうしたんだろう?
私は深く考えずに電話に出る。
「あ、ニナ?」
すると電話口から久しぶりの優しいニナの声が聞こえた。
けれど。
私はニナの言葉が聞き取れない。
なんで?
どういうこと?
そこまで考えて、私は大事なことが頭から抜けていたことに気づいた。
今、ニナはアメリカにいる。
そして、今英語が消えてたんだった……‼︎
どうしてニナと電話が繋がったかも、ニナが今どんな世界にいるのかもわからないけど。
とにかくニナが何を話しているかわからない。
まるで日本語をぐちゃぐちゃにしたような、訳の分からない不気味な言葉が聞こえてくる。
そういえば、好きなアーティストの曲を聴いたときもそうだったじゃん!
私の背中に冷たい汗が流れる。
そんな間にもニナは何かを続けて話している。
私は慌ててニナに何か返事を返そうとするけど、なんて言っていいか分からない。
だって、言葉が通じてないんだから。
ねえ、もしかしてだけどさ。
私、英語が消えて喜んでたけどさ。
英語が消えちゃったのって、まずいんじゃない?
私の心の中がモヤっとしかけた、その瞬間。
電話口でバンバンッという大きな音とともに、たくさんの人々の悲鳴が聞こえた。
えっ?今の、何の音?
「ニナっ!ニナっ!」
私はニナに必死に呼びかけるけど、返事はない。
なんだろう……。すごく心がザワザワする。
私はこぶしを強く握りしめて窓の外を見つめた。
……今、アメリカにいるニナに何が起こってるの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます