第5章 英語のない世界は超最高⁉︎
ゲコゲコゲコゲコ。
カエルが鳴く夏のむし暑い夜。
「あー、今日も疲れたっ。」
私はそう言って自室のベッドに寝っ転がった。
そして、英語が消えたこの世界で起こった今日のことを思い返す。
瑞希の行動から始まって、詩乃たちと会話して。
そこで英語が世界から消えていることに気づいたんだ。
そして、学校を終えて、放課後、詩乃たちと桜輝と3人で遊びに行ったら、色んなことが変わってたんだよなぁ。
「カフェ」が「喫茶店」に、「コンビニ」が「
私、知らなかったよ。
「コンビニ」って「コンビニエンスストア」の略で、元々は英語から来てたんだね。
あとは、帰りに乗った電車でも、いつもなら日本語放送の後に英語の放送も入るんだけど、今日はなかった。
で、その後家に帰っても、いつもなら1日1回は英語の話をするお母さんが今日は私に何も言ってこなかったんだ!
すごく嬉しい!
いつもならこの時間は英語の宿題に困ってたんだけど、今日はないからいつもより早く寝られたし!
あぁ、こんなにいい世界なら、なんでもっと早く英語のない世界にならなかったんだろう。
そう思うくらいに私はこの英語のない世界を楽しんでた。
……でも。
ちょっとだけ困ることもあったんだよね。
それはよく詩乃たちと3人で放課後にいく、ファーストフード店に入った時。
私は、いつも「チーズバーガー」を頼むんだよ。
それでさ、ついいつもの癖で「チーズバーガーを一つください」って言っちゃったんだ。
そしたら、店員さんが怪訝な顔をしてて。
慌てて英語が使われてるって気づいて言い換えようとしたんだけど……。
普段から「チーズバーガー」って言葉を使ってるから、なんて言えばわからなくて。
仕方なくメニューを見たら、なんと!
チーズバーガーの写真とともに「
チーズバーガーって、こんな表現ができるんだ……?
私にはどこがチーズでどこがバーガーなのかわからなかったよ……。
思わず、びっくりして周りを見回した。
けれど、周りの人は普通に「白こく肉挟みまん、ください」とか言って頼んでいる。
それで、なんとか言いたいことを全部飲み込んで、無事頼めたんだけど……。
さすがにあれは頼みにくかったなぁ。
他にも、家に帰って、好きなアーティストの曲を聴いてたとき。
ちょうど英語で歌われている部分に曲がさしかかって、どんな感じになってるんだろう?って思ってたら、そこの部分は何が歌われているかわからない謎の言葉が入ってたんだよ。
めちゃくちゃ怖かったんだから……!
まぁ、でもさ。大嫌いな英語をするのに比べたらまだマシだよ!
それぐらいなら我慢できるし!
そのときふと、もし世界がずっとこのままだったらって頭によぎった。
でも、考えなくてもいいや、そんなこと。
きっとどうにかなるよね!
ああ、これからもこの世界がずっと続いたらいいなぁ!
そう思いながら私は深い眠りについた。
ーーー
一方、アメリカ。
その頃、アメリカでは、日本のニュースで持ちきりだった。
どうやら日本が突然アメリカとの関係を断ち切ったらしい。
英語のメールも、ニュースサイトも全部日本側では表示されなくなったというのだ。
これにより、アメリカのあちこちで動揺が広がっている。
……日本では英語が「ない」世界になってしまった。
でも。
アメリカは普通に英語が「ある」世界のままだったんだ。
だから、これはその「違い」で起きてしまった歪みなわけだけど。
当然アメリカに住む人がこのことを知るはずがない。
なので、アメリカにとっては前代未聞の大事件だった。
そんな中。
ある少女は絶え間なく流れてくる日本のニュースを見ながら不安そうに呟いた。
「Kasumi…are you okay? 」(花純……大丈夫かな?)
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