第3章 朝の異変
次の日の朝。
私はお母さんに起こされて目が覚めた。
時計を見ると、なんと針が指していたのはちょうど8時!
「お母さん、なんでもっと早く起こしてくれなかったの!」
私は八つ当たりだと分かりつつ、叫ばずにはいられない。
だってさ、8時10分には家を出ないと学校に間に合わないんだよ?
しかもこういうときに限ってスマホが見つからない。
昨日どこ置いたっけ?
私は記憶を絞り出して、思い出そうとする。
と、そこへ弟の
「あ、瑞希!私のスマホどこにあるか知らない⁈」
すると、瑞希は不思議そうな顔をして私を見た。
そして、一言私に呟いた。
「姉ちゃん、何言ってんだよ?」
え?私そんなに変なこと言ったかな?
「スマホ、私のやつ。」
私は再度聞き返す。
すると、ますます瑞希は眉をひそめ、首を傾げるだけだ。
「なんで?私そんなに変なこと言った?」
私は切羽詰まった声で瑞希に聞き返す。
と、ふと瑞希のポケットに瑞希のスマホが入っているのを見つけた。
私は瑞希のスマホを引っ張り出して、それを見せながら話す。
「私のこれだよ。どこにあるか知らない?」
すると、ようやく瑞希は理解したような、納得した表情でうなずいた。
「ああ、それなら玄関の靴箱の上に置いてあったよ。」
そうだ、昨日怒られてたときに靴箱の上に置いたんだった!
私は瑞希にお礼を言って、急いで玄関に向かおうとする。
と、去り際に瑞希がふと呟いた。
「スマホって何だよー。これは携帯電話だろ。姉ちゃん、変なの。」
私はその言葉を聞いて固まった。
……え?もしかして、今、スマホっていう言葉が瑞希に通じてなかった……?
でも、そう考えたら全てのつじつまが合う。
いやさ、確かにスマホは携帯電話だけど。
どうしてスマホは通じないのに携帯電話なら通じるんだろ?
昨日まで瑞希も普通に「スマホ」って言ってたぞ。
逆にスマホのことを携帯電話って言ってるところの方が見たことない。
変なのは、私じゃなくて瑞希なのでは……?
でも、そんなことを瑞希に言い返す時間もないので、不思議に思いながら慌てて家を飛び出した。
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