107号室―澤田

「……」

また、部屋。しかし恐らく、先程の部屋とは全く違う場所。部屋の雰囲気がまるで違うのだ。

それに、移動する前に見た表札には107号室の澤田と書いてあったが、それは先程の部屋の住人なのか、ここの住人なのか。一先ず後者だと仮定しておく。

部屋の奥を見るとまた同じようなドアがあるので、鍵を探すことにした。

……綺麗すぎやしないだろうか。生活感がまるでない。というか―――いや、気のせいだろう。そんなことよりも鍵だ。果たしてあのドアの先に出口があるのかは分からないが、長居していると不味い気がする。早く出なければ。

部屋中を探し回っていると、大体怪しいところはわかってくる。……馬鹿デカい絵画があれば、流石に誰でも怪しむだろう。動かすのが大変そうだったので後回しにしていたが、そろそろ確認しないと終わらなそうだ。

ガタッ

絵画の裏に、小さなフックにかかった鍵があった。長めの紐に通してあるようで、取るのに手こずる。もっとよく見ようと顔を隙間に突っ込むと、影になっている奥の方に所狭しと札束が敷き詰められているのが見えた。


……なんだ。金、あるじゃないか。あんなにお前が盗んだとか言ってきたくせに、自分が忘れてたとか。自分の非は認めないで親友を迷わず疑ってきやがって。


そうか、何か見覚えがあると思ったら。やはりここは俺の親友だったやつの部屋らしい。

―――鍵は取れたし、次行くか。

ガチャ

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