第3話 突然、病に侵されて

 私は今から五年前、リウマチという病気になった。

失礼ながらも、温泉や入浴剤の効能でしか見たことがない病名で、ここまで恐ろしい病気だと知らなかった。

 ある日突然、激痛が体を襲った。経験したこともない痛みは、言葉では到底表現できない。


全身の骨が腐ったのか。

骨が全部溶けたのか。

万力で潰されているのか。

ただ息をしているだけで、拷問を受けているようだった。


 痛み止めも効かず、座ることも立つことも横になることもできなかった。自分の免疫力で自分の体を壊していく病気だった。


 五年間、どこにも行けず、何もできなかった。


 仕事もできる状態では無かった。借金を繰り返したり、子供の頃から分かり合えない両親に頼って生きていくしかなかった。

 激痛で動けない私に、容赦なく罵声を浴びせる両親に、心から死んで欲しいと願った。そして、何よりも自分が一番死んでしまいたかった。

 けれど、飛び降りる為の僅かな段差すら、登れなかった。

包丁すら持てなかった。

首を吊るにも紐すら、結べなかった。

薬を飲むにも、手を口に持っていくことすらできなかった。

健康に生きることも、死ぬことも許されなかった。


辛くて流れる涙さえ、目に刺激で激痛だった。

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