男女差と竹原慎二について

伽墨

ガチンコファイトクラブってもう若い世代には伝わらないかな

男女の体格差や身体能力の差、これはあまり話題にならない。「まあ男の方が上になるよね」──世の中の理解は、その程度の解像度で止まっている。


しかし私は思った。


この差をもっと直感的に伝える方法はないのか?


そうだ、シミュレーションをすればいい。

一般の男女差を、一般男性 vs 有名格闘家に置き換えたら、いったいどうなるのか?これは哲学的にも社会的にも重要な問題設定である。



まずはデータを確認する。

平均的な日本人男性は、身長170cm、体重67kgである。

平均的な日本人女性は、身長158cm、体重56kg。


差を取ると、身長は約12cm、体重は約11kgの開きとなる。

さらに筋力を比較すると、上半身では男性が女性の1.5〜2倍、下半身でも1.2〜1.5倍強い。

陸上競技などの記録を見ても、男女差はだいたい10〜15%の範囲で安定している。


要するに、男女の差とは「身長で10cm強、体重で10kg強、筋力で1.5〜2倍」なのである。

これが数値的な土台だ。


では、この条件において、vs一般男性となったとき、最も近い有名格闘家は誰か。

私のシミュレーションによると、それは──竹原慎二である。


竹原慎二、186cm・72kg。

差を計算するとこうだ:

・平均的男性(170cm・67kg)との身長差は16cm。体重差は5kg。

・筋力と瞬発力の差は、元ボクシング世界王者ゆえに最低でも1.5〜2倍以上と見積もっても差し支えないだろう。


つまり「平均的な男性vs竹原慎二」の構図は、ほぼ「平均的な男性vs平均的な女性」の差に等しい。


強調しておきたいのは、私は軽い冗談で言っているのではないということだ。

数字の上で、男女差は竹原慎二で説明できるのである。


ここで若い読者のために補足しよう。

竹原慎二とは、元WBA世界ミドル級チャンピオン。めっちゃ強いボクサーだった。その証拠として、日本人でこの階級の世界王者になったのは彼と、あと村田諒太の2人だけである。

さらにテレビ番組『ガチンコ!ファイトクラブ』では、生意気な不良たちをしばき倒す鬼コーチとしても知られた。

要するに、竹原慎二とは「強さと怖さの両方を体現する男」である。

そして今や、男女差を説明するための哲学的単位でもある。



ここからは想像してみよう。これは「女性が普段見ている世界」が、男性だったらどう見えるのか。これをわかりやすく近似したものである。もちろん、「竹原慎二」という哲学的単位に基づいて。


満員電車に乗るとき、もし周囲をぐるりと取り囲む人々がすべて竹原慎二だったらどうだろうか。

夜道を歩いていて、後ろから足音が響く。振り返るとそこには竹原慎二。どうだろうか。

スーパーで隣に立つのも、コンビニで立ち読みしているのも、カフェで隣の席に座るのも、すべて竹原慎二だったらどうだろうか。

「これ重くて持てないんです、持ってくれませんか」と、竹原慎二にお願いしたくはならないだろうか。

酔っ払ってフラフラしているとき。真剣な顔をした竹原慎二に「あんちゃん、俺と遊ばねえか?」と声をかけられたらどうだろうか。

街を歩いていたら突然「おい、俺とスパーしようぜ。LINE教えるけん、ジム来いや」と竹原慎二に誘われたらどうだろうか。


これが、女性にとっての「日常」である。

女性は社会という名の「竹原慎二ワールド」に常時ログインしているのだ。



だから男性は、自覚しなければならない。「自分は女性にとって竹原慎二である」という事実を。

乱暴で理性を欠いた竹原慎二は恐怖そのものだが、優しくて倫理的な竹原慎二はむしろ心強い味方であり、安心できるだろう。

男性が一人ひとり「優しい竹原慎二」になろうとするなら、世界はそれだけで少し平和になるだろう。


──そう、世界平和の鍵は竹原慎二にある。

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