4.9 これ以上
地下室には十個ほどの机が並べられていた。
席に着いた三人の生徒。吊り上げられたままの一人。
四人とも服は着ていない。先生までもが服を脱いでいた。
「それじゃあ──」
先生が喋り出したとき、どこからかバイブ音がした。
「あ……」
サクがさっき脱いだ自分のブレザーを見る。
「私のです」
立ち上がってブラザーのポケットからスマホを取り出す。通話を拒否した後、しばらくじっと画面を見て戻って来た。その目は──先ほどまでと違う、どこか力がこもっている。
「すみません」
椅子に座るのかと思ったら、素通りして先生の元まで走っていく。
急なことに驚く恭子の首元にかかったスイッチをつかみ取る。
「な……」
首を引っ張られ腰を折る恭子さん。
「二人とも、今のうちにノコさんを助けて」
良きところで動き出してくれた……!
このままじゃ確実に年齢制限がつり上がりそうだったから……!
スイッチを巡って、もみくちゃになっているサクと恭子。ボタンを教えてしまったのか
「うう」
と震えるノコ。僕と風船さんは拘束を解こうと、ノコの元まで来たけど
「これ、触ったらうちらも感電する?」
「でも、助けないと……仕方ない。うわっ」
ビリビリ震えながら、何とか拘束を外そうとする。
「大丈夫?」
「……最初は痛かったけど、だんだん癖になって来た」
なんかマッサージみたい。
「大丈夫? 歩ける?」
降ろしたノコの肩に手を回す。
サクが馬乗りになった恭子に殴られていたので、恭子を押し飛ばして助け出す。
四人で地下室を飛び出した。と言っても、ノコは走れなかった。
「風船さん手伝って」
ノコを僕の背に乗せる。
「待て」
起き上がって止めに来る恭子はサクがどうにかする。
「よし」
地下室を駆け出した僕ら。
「どっちから来たっけ?」
暗いし同じような壁が続いていて良く分かんない。
「こっちかな」
先頭を行くサクが何となく行くのについていくしかない。
とにかく追いかけて来る恭子から逃げようと走っていると
「あ、なんかある」
エレベーター的なモノだった。昔の欧風な感じの、籠っぽいエレベーター。
乗り込む僕とノコとサク。
「はぁ……はぁ」
足の遅い風船さんがやっと来て、
「ぜぇ……ぜぇ……くそぉ」
風船さんより足が遅くて良かった恭子。手を伸ばすも届かず、エレベーターが動き出す。
「え、これ前行ってない?」
上下とかじゃなく?
「どれ押せばいいか分かんなくて、適当に押した」
サクが指さした先にはボタンが並んでいる。上下に加え、左右、前後……矢印が立体的に書かれている。点滅してるのは、多分前。数字のボタンをある。
「まあ、全方向エレベーター何て初めてだからしょうがない」
なんか、全自動の工場を出荷されていくみたい。
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