4.6 もっといいもの
初犯の恭子の方が景気が短かったため、先に出所することになった。スライム・ウーマンとは一時の別れだ。再会を約束して、刑務所を出た。
「そうだ、電流器」
没収された電流器は危険物として認識され、返されなかった。
チョッピーの元に向かえば、新しい電流器を貰えるだろうか。
しかし、一人前の電流士として認められ、旅立った身だ。教官の手を借りるのは情けない。
電流器の代わりになるようなものを探して歩いていた恭子。
しかし、丁度いいものは見つからず途方に暮れていた。両親はビリビリ・ギリーである恭子に愛想をつかし勘当していたし、帰る場所がない。
とぼとぼと歩いていると、
「てめぇ、よくも舐めた真似してくれたな?」
何やら揉め事の様だ。
「離してください」
少女が一人、路地裏で男らに囲まれている。後ろは壁で逃げようがない。
「私の電流を感じないか?」
「あ、何だオマエ?」
突如現れた恭子を睨む男達。
溜まっていた恭子は男らに襲い掛かった。しかし、返り討ちに会い、結局ボロボロになった恭子に気が済んだのか。「行くぞ」男たちは去っていった。
「大丈夫?」
倒れた恭子の身を起こす少女。
「こんなにボロボロになってまで、見知らぬ私を助けてくれるなんて……」
少女の目には涙と、恭子への感謝が浮かんでいた。
「折角アイツら倒して、もう心配ないのに、泣くなんて……」
そのしずくを恭子の指がそっと拭う。
身を挺して自信を助けてくれた恭子に対して、少女が特別な感情を抱いたのも確かだった。惚れやすいタイプなので。
怪我の治療もかね、恭子は少女の家に一晩お世話になることになった。少女は名前をナタネと言った。彼女は恭子より一つ年上で、両親はちょうど留守のようだった。
「これは何?」
少女はナタネの部屋に見たことないものを見つけた。
「これは……」
少女はその棒を恥ずかしそうに隠した。
しかし、歳が近いよしみか、恥ずかしそうにしながらも
「これはね……」
と、その用途を教えてくれた。
もしかしたら、電流器の代わりになるかもしれない、とその棒に興味を抱いた恭子。頼み込むと、「あなたがいいなら」と貸してくれた。
──その晩、恭子はチョッピーに教わったものよりも強い快感に身を震わせた。
一度捕まった身だ。流石に恭子も学んでいる。
人前で快感を教示してはならない──ということを。
ナタネの知り合いなどから始め、徐々に交流を広げていく恭子。最初、その手にはその棒が握られていたが手段は色々あることを学んだ。あらゆる道具やテクニックを使いこなすようになり、かつてのビリビリ・ギリーは今や、立派な伝道師であった。
しかし、恭子の心には常に思っていることがあった。
「かつての私にビリビリを教えてくれたチョッピーのように、子供たちに快感を教えたい」
何とも危険な思想である。
前科のある恭子が教職の地位につくことは難しかったが、校長や教育委員会の幹部を伝導で施し、美顔島ディストピア高校で教鞭をとることを許された。
教育免許がないことは隠していたが、何の担当教科も割り当てられない恭子のことを、同僚の教師たちは訝しく思った。しかしそこは、彼等にも教鞭を与え、恭子はいつしか向かい入れられた行った。
「私もいつか、恭子さんみたいになりたいです」
そう恭子を尊敬のまなざしで見る彼女は、今やディストピア高校第二の淫乱教師である。
今や全教師に、No.1からNo.50まで、淫乱順に番号が割り当てられている。
それらをまとめるNo.1、バラクーダ恭子は第二の校長とも言われている。
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