3.10 体の下準備

 お姉さんたちに抱きかかえられた僕らは、伸びて来る複数の手に服を脱がされた。

 それから、担がれて、調理場の奥に運ばれた。物置なのか食材の段ボールが置かれている。

 向かいには全裸で手を縛られ、つるし上げられた風船ふうねさん。僕も同じような格好。

 ……何で向かい合わせに置かれたんだろう。嫌でも視界に入ってくる。

 そして、おしぼりを握った水着姿の女性が風船さんに近づく。女性の形のいい背中や腰のラインが僕からは良く見える。

「ん……」

 風船さんは、おしぼりに肌を拭かれると、艶っぽい声を上げた。この時を待ち望んでいたみたいに恍惚の表情を浮かべる。

「失礼します」

 視線を手前に戻す。もう一人水着姿の女性が、おしぼりを持って僕の傍に立っている。つるし上げられた僕は、彼女を見下ろしていた。張り出した胸の、水着の生地から覗く素肌が見えた。メイクした目元や唇がキラキラしている。

 おしぼりが身体に伸びて来る。ひんやりとした感覚。

 胸元、首回り、腰、臍、降りて来て……手が止まる。

「あの、あまり固くされると困るのですが」

 見下ろしたソコは、彼女の胸元ぐらい張り出していた。

「調理した時、美味しくなくなります」

 ああ、やっぱり掃除されて食べられるんだな。

「すみません……でも、その……そっちもその、そんな恰好してるから……」

 こんなに近くで、こっちは動けないのに、刺激的すぎる。

 こうなってしまったのは、向かいで相変わらず変な声を上げてる風船さんのせいではない。

「水着ですか? 皿洗い係なので」

「そう跳ね返るモノもないでしょう」

「あと、私のせいにしないでくれますか? このぐらいで興奮しないでください」

「僕高校生ですよ?」

「高校生でも女性の裸に慣れてる人もいると思います」

「そんな歴戦の覇者みたいな友達いません」

「貴方の属しているグループが底辺なだけです」

「……なんかさっきから凄く冷たくないですか? 初対面なのに」

「固くされると柔らかくしないといけないのですが……触りたくない。憂鬱なんです。私をこんな憂鬱な目に会わすあなたにイラついています」

 虫でも掴むように、触れる寸前で指を遠ざける。

「あの、少しの間離れていてくれたら、収まります」

「逃げないように監視していないといけない」

「じゃあ、僕は目を閉じてますね」

 目を閉じたら彼女の肢体が浮かんだので、やっぱり部屋の隅を見ていることにする。

「しかし、意外とおっきいんですね」

「誘惑するようなこと言わないでください」

「おっきいのがいいとは言ってません。むしろ主張してこないで欲しい。ただ、顔立ちと、身長とかのバランスを考えると、意外と大きいですねという世間話です」

「もっと世間のこと話しましょう?」

「貴方のご友人は大変、気持ちよさそうになさっています」

 向かいのペアにチラッと視線を送る。

「乳首もほら、あんなにパンパンになっている」

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