第15話

2045年より愛を込めて 第015話 愛知


とんこつ餅ラーメン? これって……。

「ああ、お餅の拉麺ね。美味しいわよ」

「なんか力付きそうですね。

 反政府組織に対抗して食べようかな」


「ふふ、あなたの原動力は鉄と餅なのね」

茶化されているけど、言い出しっぺは俺だ。

「清水先生は坂本竜馬に会われたことは?」


「リアル対面はまだだわ。

彼はコンクリートの内側に居るって聞いたけど?」

「閉鎖病棟だから安全って考えは甘いんじゃ?

 それにアイツ、生活区分5MAX外出で

閉鎖病棟の外側で、作曲の真似事しています」


「生活区分5MAXかあ、病院も色々大変ねえ」

「大変なのは俺達ですよ!

 被害妄想かも知れないけど

 俺等ってペアリングみたくなってて

 片方が逝くと、もう片方も逝ったりしませんか?」


「よく理解してるじゃない。確かにそういう仮説はあるわ。

 あなたたちが左右の心房を失って生誕した意味を

 これから問い質して行くのよ」

「あのー……、外国人女性がチラチラこちらを

 観てらっしゃるのですが……」


「ううん? ああ、クラリスじゃない!

 貴女、何回目の来日?」

「白々しいなあ、先生がアタシを招集したんじゃない!」

困り顔の女性。清水女医の一面を垣間見る。

「そう……なんですか?」

「貴方がリョウマくんね。アタシはクラリス・アスライフ。

 硝子生成のスペシャリストよ。4649ね」

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