第4話 森の環境調査
――翌朝、学院長室にて
コンコン……と扉叩く。
「……入りたまえ」
「アルデルトです。失礼いたします。」
扉を開けて学院長室に入ると、学院長は奥の院長席に座っていた。
「おはよう。アルデルト君、いや……アルデルト教授」
「おはようございます。あの、教授はやめていただけないでしょうか?」
急に教授などと呼ばれても、どうにもむず痒いというか、慣れない……
「そうかの?嫌なら仕方ないが、とにかく……我が学院の特任教授を引き受けてくれて、ありがとう。早速じゃが、君の研究室へ案内しよう。ついてくるのじゃ」
研究室……この前まで、普通の学院生だった私が自分の研究室を持てるなんて、正直とても楽しみだった。
……だったのだが、辿り着いたのは何故か学院の外。
「あの、学院長……ここは?」
「うむ……昨日の今日で部屋を準備するのはなかなか難しくての、空いてる部屋がここしかなかったのじゃ。もともとは守衛の宿直室だったんじゃが、学院の増築に伴い使わなくなっての」
「はぁ……」
ちょっと期待してただけに少し残念な気持ちもあるが、そもそも自分の研究室をあてがってもらえるだけでもありがたいのだ……わがままは言うまい。
「まぁ、君の気持ちもわからんでもないんじゃが……しばらくはここで我慢してくれるかの?」
どうやら顔に出ていたらしい……
「あ、いえ……私にはちょうどいい部屋です」
「すまぬの……まぁ、とにかく入ってみなさい。君の助手も中で待っておるぞ」
助手だって?
学院長が扉を開き、研究室の中へと入る。
「あ、おはようございます。アルデルトさん」
「え、モニカさん?」
「そうじゃ、わしの孫を助手に付けさせてもらった。学業を優先という形ではあるが、本人の希望もあっての……変な気は起こすでないぞ」
「は……いえ!そのようなことは!」
確かにモニカは可愛いが、学院長の孫に変な気など起こせるわけがない。
「なんじゃ、つまらんのぉ」
どっちなんだ!
「どうしたんですか?二人とも」
このやりとりに気づいていないモニカが首を傾げながら尋ねてくる。
「ああ、いや……何でもないよ。これからよろしく、モニカさん」
「こちらこそ、よろしくお願いします。あと、モニカで結構ですよ。アルデルトさんはこの研究室の教授なんですから」
教授、なんていい響きだ。
「わかったよ。モニカ、改めて宜しく」
「はい!」
「二人の挨拶も済んだことじゃし、さっそく仕事の話をさせてもらおうかの」
「仕事、ですか?」
まだ研究方針や課題も決めてないのに、仕事って……
「なに、難しい事ではない……このクロイツの街近くにある森の環境調査を頼みたいのじゃ」
「森の環境調査ですか?」
「うむ。モニカを襲った生物の調査、それに関係する環境因子の調査を二人に任せようと思っての。もちろん、二人だけでは危険じゃから、街の薬師と護衛のハンターにも同行してもらうつもりじゃ」
ハンターって、魔獣討伐なんかを生業にしてる人じゃないか……教会附属の騎士団じゃなくて、わざわざハンターに依頼するってことは……
「学院長は森の生態環境の変化が、魔獣の影響だとお考えなのですか?」
「その可能性があると考えておるだけじゃよ。もし、魔獣が関わっておるならハンターの手を借りた方が安全じゃからの」
「危険だと思われるなら、私たち二人が同行するのは……」
「わかっておる……じゃが、おぬしら二人が適任なのじゃ。襲ってきた生物を見た者はモニカしかおらぬし、襲われて毒にかかった場合はおぬしに治癒してもらわねばならん」
確かに……我々以上の適任者はいなさそうだ
「わかりました。モニカもいいのかい?怖ければ無理に行かなくとも」
「大丈夫です。怖くないわけじゃないですけど、被害が増える前に何とかしたいですから」
「そうか……学院長、その仕事、引き受けさせていただきます」
「うむ、よろしく頼む」
「それで、その仕事の詳細は?薬師やハンターの方と調査の内容について確認したいのですが」
「街にいるハンター殿に話はついておるでな、今日の昼に薬師も交えて教会で話をする予定となっておる」
仕事が早すぎる!私たちが断ったらどうするつもりだったんだろうか?
「わかりました。私たちも昼頃に教会へ向かいます」
「頼んだぞい」
何だか良いように扱われている気もしないではないが、特任教授として実績をあげれば今後の研究もやりやすくなるだろうし、頑張るか……
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