第3話光の中で
夕暮れの校庭。冷たい風が吹き、視線の痛みが胸に残る。しかし、その中で夕が歩み寄ってきた。
「大丈夫?」夕の声には嘲り好奇心もなくただ優しさがあった。僕は驚きと戸惑いで言葉を失う。胸の奥の化けの花が小さく揺れた。「夕、僕」秘密を話す勇気はまだ完全には戻らない。けれど、夕はそっと頷きせ背中をそっと押す。「知ってるよ。別に変わらない」その一言に、胸の中の化けの花が少し開き、痛みの棘が和らぐ。孤独ではない。理解してくれる人がいる。光は小さいけれど確かに存在していた。放課後、夕と並んで帰る道。周囲の視線はまだ痛い。
噂もまだ耳に届く。けれど、歩く足取りは少し軽くなった。化けの花は、まだ棘を持っている。痛みは消えない。それでも、自分を受け入れてくれる人がいる。それだけで歩み続ける力になる。ー痛みも孤独も抱えたままそれでも進む。化けの花として生きること。それは、傷つきながらも、自分の存在を大切にすること。夕の横顔を見ながら、僕は小さく息を整える。胸の奥で、化けの花は揺れる。まだ痛むけど今は確かに咲き続ける希望を抱えていた。
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