第2話目
翌日、学校や街中の視線が重く感じられた。
視線ー他人の「目」が胸の奥の化けの花に棘を突き刺す。教室の隅で囁く声、スマホを見ながら笑う影。
すべてが自分を見透かす刃のように刺さる。胸の奥で化けの花は痛みを増し棘が鋭く広がる。「これが現実なんだ」律がばらした秘密は、あっという間に広がった。心は男、体は女。ーその事実は、誇りでもある一方、他人の目に晒されると痛みでしかなかった。昼休み、誰にも近づかず、視線だけが突き刺さる教室で僕は静かに机に顔を伏せた。化けの花は胸の中で揺れる孤独と羞恥を増幅させる。それでもどこかでかすかに光が射す。「進んで行くしかない」痛みも孤独もこの花の棘もすべて抱えたまま前に進むしかない。夕暮れの、校庭で僕は静かに立ち上がる。誰かの視線も噂も棘も避けられない現実。けれど、化けの花として咲き続ける自分を受け入れるしかない。ー化けの花は痛みと孤独を抱えながら、それでも進む。僕は小さく息を整え、暗く冷たい日常の中で、自分自身を胸に刻んだ。
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