化けの花

青夏 水蓮

第1話 進んでいく


夕暮れの公園。木漏れ日が揺れ、地面に斑模様を描く。僕は、膝を抱え、胸の奥に根付く化けの花の棘を意識しながら幼なじみの律を見つめた。

「律、僕言わなきゃいけないことがある。」声は震え

言葉は、胸の中で絡まる。律は、静かに頷く。

「なんでも話してよ、俺は友達だから」ー信じたい。でも怖い。胸の奥で化けの花がざわめく。「僕、心は男なのに体は女なんだ。」空気が凍った。律の目は、硬直し、ひそかに笑った。その笑みは冷たく好奇と軽蔑が混ざっていた。「ふーんそうなんだ」その瞬間、律はスマホを取り出し無言で何かを返信した。

「や、やめ」声にならない叫び。だがすでに遅かった。律は、僕の秘密を仲間たちにバラしてしまった。胸の奥の化けの花が棘を広げ、痛みと孤独が一気に押し寄せる。視線、噂、冷笑ー想像の中で全てが現実に変わり、僕を締め付ける。「こんな自分で進んで行くしかないのか。」涙が頬を伝い、心に刺さる棘は消えない。化けの花として生きること、それは、痛みと孤独を抱えながらも自分の存在を捨てずに前に進むことだった。

しかし、その道は暗く、冷たく、孤独に満ちていた。

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