5話「魔女集会(2)」
「…………あ、死にましたね。魔女。」
カップケーキにチョコをたっぷりとかけている真っ最中の■■が突然そんな事を口走った。
「ありゃ、死んじゃったのかい。」
「あの自信家野郎ってちゃんと死ぬんだね。」
「…………蛇の人と猫の人ってなんか……雰囲気が似てませんか?」
それを聞いたあたしと幻滅が顔を見合わせ…………られなかった。何故なら座っているイスがお互いに離れているからである。あたしは皆が視界に入れられるイス、幻滅は端の方のイス……というように。
「一人称もおんなじ……あ、猫の人は使い分けてましたよね。」
「まぁ、使い分けてはいるね。」
「…………。」
あたしは聞く側に徹する。あの子はあたしなんかが話しかけてもいいような相手じゃない。
だってあの子は始祖の魔女で、あたしの仲間でもあった。
仲間だった頃に助けられなかったのだから、今どういう距離を保てばいいのかがわからない。
「…………妄幻さん。」
「ん、なんだい?」
「………………はぁ。」
「?」
「魔女が私の意識を2つ殺して行きました。」
「うん。」
「私は結構気に入っていたんです。」
「まるで御伽噺のような、夢のような景色を見続けるあの平穏な意識も。誰かに仕えるという希望に溢れたあの忠実な意識も。」
「大好きだったんです。………………なのに」
「なのに突然____魔力を補給する為だけに2つも殺されて、それでぽっと出の人達に殺されたせいで…………私は魔女に復讐出来ずに終わったんです。」
「終わってしまったんですよ……。」
少しずつ涙声になっていく■■を見て、あたしはただ頭を撫でた。あたしの気が済むまで、とりあえず、ひたすらに。
復讐は何も生まないと言うけれど。復讐から生まれた子は復讐を生まなくなったらどうなってしまうのだろうか。それはただの虚無なのではないのだろうか。
なんて思いながら、数分ずっと撫でていた。
「…………なんか、ごめんなさい。」
「いやいや、弱さは魅力だろうよ。」
「なんだよ弱さは魅力って。弱さは勇気だろ。」
「………………。」
「…………。」
「えっ、お前達…………どうするんだよこの空気……。」
「知らないよ。」
「自分でどうにかしてほしいです。」
「泣いて慰めた後でもな〜〜〜んにも変わってねぇわコイツら。」
幻滅は呆れた顔でそう言った。
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