4話「自業自得(2)」
あの日、見知らぬ誰かの家に入って首を捻って勝手に殺した。
今日、見知らぬ誰かが私の上に鉄の雨を降らせて地面に抑えつけた。
魔法で刺さった鉄を抜き終え、少し回復してからとぼとぼとどこかへと向かって道を歩く。
体力を全快させる程の魔力は元々持ち合わせていない。だから、どうにかして魔力を回復させないといけない。その為には誰かを殺さないといけない。
そんな悪循環にいつも襲われる。
そんな私の名前は魔女。名の通り、種族は魔女で魔法を扱う事が出来る。
ただ、それだけのちっぽけな存在だ。
のんびりとぼとぼと歩いていると、少し遠くに立てられている街灯の下に人影が映った。しかも2つだ。
どちらを殺す事さえ出来ればそれなりに回復するかもしれない。そしたらもう1人もきっと殺せるかもしれない。
進行方向のおかげで私が後ろを取れている。物音を立てずに近付く事が出来ればバレない筈。
のそおり、のそおりと歩いてやっと真後ろまでやって来た。後は弱そうな方を殺せば良い筈。
そう思い、垂れたウサ耳が付いている方の頭部に向けて手を伸ばし_______
その頭部がぐるりとこちらを向いて、手首から先を食いちぎられた。
そのウサ耳の人物はぺ!と私の片方の手首から先を地面に向かって吐き出した。
「ね、蝙蝠さん。お口直しして?」
「勿論。わたしの可愛い兎。」
そう言って、兎と呼ばれた人物が頬に溜めていたであろう血を吐き捨てた。それを見た蝙蝠と呼ばれた人物が兎と呼ばれた人物の口元にキスを1つ落とす。
私の魔力はあの片手に溜め込んでいた。だから今は空っぽだ。
魔力が無いなら杖でぶっ叩けばいい。もしくは腕で。
そうは思っていても行動には起こせない。
魔力が動力源でもある私の足はふらふらと動かす事しかできない。そのせいか、相手に手加減をされている気がする。いや、されている。
間違いない。この攻撃の弱さ、あえて目視でも分かるくらいには外し続けている感じ。かなり下に見られている。
「…………貴方達って、どのくらいの強さなのかしら。」
「……………………。」
「…………確か、■■だったかなぁ〜……??」
あぁ、困った。困り果てた。
そんなに強い人達に喧嘩を売ってしまったのかと。私の今の位ではそもそもダメージすら入りそうに無いと。
だから、私は降参した。
それと同時に軽快な音が鳴った。
音の出どころは兎と呼ばれた人物が持っているぬいぐるみ。それを中心にして、まるで鏡合わせのようなポーズを取った2人。
これから何が起こるのかはわからないけれど、きっとロクでもない事であるのは間違いない。
「「【イニミニマニモ】」」
そう唱えれば、頭が破裂し脳みその原型も残らない。
魔女は死んだ。二度とは見せられない姿になって。
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