2話「忠実な黄」

朝方の5時頃、のそりのそりと目を覚ます。

そして無音の廊下を歩き、階段を降りて下の階へと向かった。


キッチンに立ち………………ったところで食材を買いに行く必要がある事を思い出した。ので喉を潤す為にコップ半分のお湯を飲み、自室に戻ってささっと着替え、護身用のナイフをレッグホルスターに隠して財布を隠し持って家を出た。



少し歩くと規模が小さく構成員が少ない組織同士が軽く争っていた。

〘………………はぁ。〙

(お店に行ける道はここしかないのに……。)

話しかけないといけないのは面倒だなと思いながら歩み寄った。

〘あの、ここの道通りたいんですけど。〙

「すまんね、他の道通ってくれ。」

〘この道じゃないと目的地に行けないんです。〙

「あ〜〜〜…………ちょっと待っとけ。」



「その……すまんが時間を置いてから来てくれ、だそうだ。」

〘…………。〙

〘はぁ…………そうですか。仕方ないですね。〙






〘あ、他の人の邪魔になると思うので殺してしまいました。〙

私の背後は死体で道が舗装されてしまっている事だろうと思いつつも目的の店向かう。

(静かでいいですね。あの子はこの鉄臭い板造りを嫌っているけど…………私からするとこの地域でこの頑丈さはいいものだと思ってはいます。)

(でもそれに納得はしてません。もう少し綺麗な板だと嬉しいです。あと空気も良くして欲しいです。)


コンクリートの上を歩き続け、数十軒の店が並ぶ道に出た。

(必要なものは………………)












キッチンに行き朝食を作る。

木製でできている鍋と調理器具がぶつかり合いコツコツと、鍋の中が沸騰してゴトゴトと鳴っている。

少しして、窓から淡く日の光が入ってきた。

(…………あ、もう7時前なんだ。)

(早いね。)

トツトツと音を立ててあの子が下りてきた。

〘そろそろ朝食出来るよ。〙

階段を降りてすぐ、近くのソファに腰掛けたのを横目に、出来上がったものを器によそう。

開けられた窓から見える景色は今日も灰色だ。

〘今日は元気かな?〙

「…………。」

「ふあぁ……。」

テーブルにコトン、と音を立てて器を置く。

〘朝食出来たよ。いつでも食べて。〙

「ん……はぁい……。」

あの子がのったりのっそりと未だ寝ぼけ眼なまま歩いてイスに座るところを見守り、私もイスに座り食事を摂る。


コツコツと食器が音を鳴らし、のんびりと食事を摂る。

今日の朝食は少し甘みのあるパンと肉無しのサラダとサラダに入れられなかった野菜だけをぶち込んだスープの3品だ。

(…………ん?ちょっとスープに苦味がある。)

(大丈夫かな………………あ、この感じは気にしてないね。)



朝食を食べ終え洗い物を終えたときには、あの子はソファに腰掛けたところだった。

〘ミルクいる?〙

「…………欲しい、かも。」

〘じゃあ注いで持ってくるね。〙

「うん。」

ぺたぺたという足音が鳴る。



〘持ってきたよ。どうぞ。〙

「ありがとう。」

湯気が出ているほかほかのミルクを両手で受け取り、ふー、と息を吹いて少し待ってから飲むところを見守る。

「…………。」

〘熱くない?大丈夫?〙

「大丈夫。」

〘ならいいね。〙

貴方はミルクを一口飲む度に頬をほんのりと赤らめた。

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