第4話 冴冬②



「まずはタケモトが殺されたS公園に行ってみよう」

 俺の提案を受けみんなでS公園に向かうことにした。

 S公園につくとそこはもう立ち入り禁止にされていた。事件現場もブルーシートで覆い被されているし、周りにはパトカーや事情聴取をしている警察などがおり、とても近づける雰囲気ではない。

「ブルーシートでなんも見えねえし、外出禁止中の俺らが警察の側通るわけにも行かねえし無駄足だったか?」

 俺がそんな言葉を漏らす

「いやもっと近くまで行ってみよう。タケモトの友達で事件についてもっと知りたいって言ったらきっと外出禁止のことも許してくれるはずだよ。」

 柊は時々見た目にそぐわず大胆な節があった。ふつう警察官に直接話しかけるか?とも思いつつここにいてもこれ以上得られる情報はないので俺たちは覚悟を決めて、警察に話しかけることを決めた。

 「あの……僕たちタケモトの友達なんですけどタケモトが殺された事件について詳しく知りたくて。」

 俺たちは警察に直接聞き、事件について情報を得ようとした。

「友達を思う気持ちはわかる、でもだめだよ。それに君たち外出禁止中じゃないか。事件については分かり次第先生に伝えるから君たちは家にいなさい。」

 他の警官にきいても同じだった。依然として事件について教えてくれない。俺たちは諦めてN公園に戻ることにした。

「おいハヤシ。何やってんだ?早く行くぞ」

 ハヤシが何やら公園の生垣のそばにしゃがんでいる。S公園は周りが生垣で覆われておりよくその中にゴミが捨てられていた。

「ごめん!ミノムシ見てたら夢中になってたわ!」

「おい、中二がミノムシに夢中になるのかよ……」

 ハヤシのバカな発言を聞きなんて緊張感のないやつなんだと心の底から呆れた。


 俺たちはN公園につき、作戦の変更について話し合おうとしていた。

「ごめん。少しは教えてもらえるかなと思ったんだけどだめだったね」

 柊が謝ってきた。正直俺も何かしらは情報がもらえるかもと期待していた分この結果は残念だった。すると今まで静かだったハヤシが沈黙を破るように話し始めた。

「そんなことねーよ!現場に近づけただけでも大きな手柄だぜ」

 ハヤシが意味ありげに笑う

「なんだよハヤシ 何か見つけたのか?」

「これ見ろよ」

 そう言って見せてきたのは青色の切れたミサンガだった

「これって……」

 柊はまだ、この学校にばかりでわからないかもしれないがこれは久保ちゃんがいつも足につけているミサンガだった、俺たちの学校では夏休みにプールが開放される。プール開放日は必ず先生が誰かしら見ててくれることになっている。久保ちゃんの細く白い足首に巻かれていた青のミサンガはよく映えて似合っていたのを思い出した。

「これっていつも久保ちゃんが足につけてるミサンガだよな?おいお前まさか……」

 俺がハヤシに言い終わる前に割って入ってきた。

「そうそう!そのまさかだよ。さっきS公園の生垣のとこでミノムシを見つけたって言っただろ?その時もっと奥にもいるかもと思ってよく見てみたらそれを見つけたんだよ。」

 こいつ、ただのバカだと思っていたけど腕の良い情報屋なだけあってそうゆう運を持ってるのかもしれない。

「でもそれが久保先生のって確信するのはまだ早いんじゃないかな?あそこは学校から一番近いから利用する人も多いだろうし。」

 それもそうだ。それに久保ちゃんのだとしてもなんであんな生垣の中にあったのか説明がつかない。

「そうだよな。同じミサンガつけてるやつだっているかも知れねーし。」

 ハヤシも同じ気持ちのようだ。

「でもどうやったら先生のかどうか判断できるだろうね。直接聞くわけにもいかないし……」

 俺たちは話し合ったがどうも良い考えが浮かばない。ふと空を見るともう随分と暗くなっていた。今日はここまでにして明日また話し合うことにした。ミサンガはハヤシが俺は無くしそうだからと俺に預けてくれた。

明日学校に行けるかはわからないが柊の話ではここまでの事件がおきて何も解決できていないようじゃ明日も休みになるはずだと言っていたのでそれを信じて集合時間を決め、俺たちは別れた。

 

 

 



 

 


 

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君と僕と雪 林黙雪無 @salappu

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