第4話
「それで?何を狩るつもりなの?」
資金面でのごたごたを片付け、スカーレットが欲しがった防具一式と新しい武器を買い終えた僕たち二人は都市から少しだけ遠く離れた場所に出た。
ついさっきまで歩いていた道と違って、木々が生い茂っている。
スカーレットはとても楽しそうな顔で、質問に答える。
「うーん・・・・なんかでっかいの」
「何それ・・・・」
「何かねぇ、ここら辺に出てくるらしい?でっかい魔獣らしい。それ狩りたい」
「へぇ・・・」
そんな話知らないなぁ・・・まあ、魔獣って基本的に神出鬼没だったりするからそういうのが現れてもおかしくはないか。
「それで?狩った後は?」
「・・・・特になし!!」
自由だなぁ・・・・まぁ、その方がいいか。
―――――
・・・・・と思っていた過去の自分をひっぱたきたい。
「ねぇ、でかすぎない???」
「アハハハハハ!!」
「いや、笑い事じゃないんだけど!?」
なんで、通常よりも数倍以上でかい魔獣が数匹出てくるんだ!?
おかしい!!絶対におかしい!!!
・・・・言ってる場合じゃないな。
「しょうがない。やるよ!!」
「りょーかい!!」
スカーレットが前衛、僕が後衛。
スカーレットは獰猛な笑みを浮かべながら、魔獣に向かって突進し、跳躍。
そして、腰から剣を引き抜き、大上段に構えながら、一気に振り下ろし、一刀両断。
「《
僕はそれを視界の端で捉えながら、速射性が高い光属性魔法を簡易術式で発動させ、左右から彼女を狙う魔獣を食い止める。
そのまま僕は、左手で狐を模した手印を作る。
「《
僕の目の前に、僕の身長と同じくらいの、狐の形をした炎の魔法生物が数匹現れる。
やっぱり、『手印法』ってすっごい難しい。
顕現させた『炎狐』たちを魔獣二匹にけしかける。
「『吹けよ、息吹』」
炎狐たちが魔獣を燃やしているのを確認、すぐさま後ろから襲ってくる魔獣を簡易詠唱した風魔法で迎撃。
「『紅蓮よ、渦巻きて集い、全てを焼き尽くす嵐となれ』――《
スカーレットは背中の翼で空を飛びながら中級火属性魔法を発動させ、《炎狐》の炎でもだえ苦しむ魔獣に追撃。
酷い。そして、飛べるのズルい。
「後ろ!!」
スカーレットの声を聴き、僕が後ろを向くと、風魔法で迎撃した魔獣が僕に向かって突進している最中だった。
しまった、仕留め損ねた!!
即座に僕は背腰に掛けた刀に触れ――
「《神楽流剣術―—》」
――
「《―—花霞の舞》」
魔獣を横に一刀両断。
―――――
「それで・・・アレであってたの?」
「・・・多分そう」
「多分かぁ・・・」
イレギュラーな魔獣たちを斬り伏せた後、僕たちは来た道に戻るために歩いていた。
恐らくあれがスカーレットが言っていたモノだろうけど・・・・アレ普通じゃないよなぁ・・・
事件が起きなきゃ・・・・・
「《
僕は魔力で構成された魔術を左斜め前の木々に向けてぶっ放す。
「??何かあった?」
「いや、
「??そっか」
スカーレットは僕の発言に首をかしげたが、どうでもよくなったのか前を向いて鼻歌を歌う。
・・・・しかし、こんなところにも来たのか・・・・さっさと帝都につかないとまずいな。
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