第2話 初めての太陽とサンオイル

(SE:遠くから波の音)

(正面、近)

これは……青い空……あの白くて眩しいのは……太陽?

テレビで見たことあるけど……

あっ、海の匂いもちゃんとわかるわ

砂浜の感触も足に伝わってくる

本当にこれはゲームの世界なの?

まるで本物みたい……


(SE:砂浜を歩く音)

(正面、中から遠くへ離れてゆく)

ふふふっ♪

あははははは♪

これがゲームなんて信じられない♪

あの暗くて冷たい海が昼間はこんなに綺麗なのね♪

波しぶきがキラキラ輝いてる♪

あっ、朝日が眩しいわ♪

本物の光を浴びたら灰になっちゃうのに

ここならいくら見ても平気……うわああっ!


(SE:主人公が走り寄る音)

(正面、近)

うぅぅ……目が……チカチカするわ……

なに、これ? 朝日を見てたら目が痛くなったんだけど?

人間もそうなの?

なによ、太陽を直視しちゃいけないって

もう。それなら先に言いなさいよ

吸血鬼にそんな知識あるわけないでしょ

直視するしない以前にあの光を浴びたら終わりなんだから

あれ? この世界じゃ羽が出てこないわ

これじゃあ空が飛べないじゃない

羽を付ける方法、あるの?

なになに? 早く教えてよ

手を前に出して……それで?

呪文って……そんなものを唱えないといけないの?

ああ、わかったわよ

ス、ステータスオープン!


(SE:ウィンドウが開く音)

わっ、なんか出てきたわ

ここでキャラメイクを選んで羽を付ければいいの?


(SE:ばさっと羽ばたく音)

うわっ、羽が生えてきた!

よ~し、これで空を……


(SE:バサバサと羽ばたく音)

えいっ! えいっ!

あれー? どうなってるの?

これはキャラメイクだけで空を飛べるわけじゃない……

って、それを先に言いなさいよ!

ゲームの世界なのに空も飛べないの?

私は普段飛べるのにおかしいじゃない!

前言撤回! このゲーム、つまんない!

楽しい事、させてよー!


(SE:主人公がコマンドを選び、衣装が水着に代わる)

えっ? 服が水着に?

それってどうするの? 私にも教えて!


(SE:コマンドを動かす音)

こっちのコマンドを……こうして……

衣装選択を……じゃあ、私はこっちの水着を……

ううん、これに決めた!


(SE:衣装が切り替わる音)

やったー!

海と言えばやっぱり水着よね♪

一度こういうのやってみたかったのよ♪

どう? 美少女吸血鬼が夏の海でビキニ姿♪

美しすぎて目が潰れちゃいそう?

ふふふふっ♪

は? なに、これ?

サンオイル……これを塗らないと肌がどんどん焼けちゃうの?

なに、その設定は! 先に言いなさいよ!

あっちのパラソルに避難するわよ!


(SE:走ってパラソルの下に移動する)

(やや右、近)

ふぅ……ゲームの中とは言え私の真珠のような肌が焼けたら世界の損失だわ

さあ、塗りなさい

なに、きょとんとしてるのよ?

あんたにオイルを塗る名誉を与えてあげるわ

私はこっちに寝ておくから丁寧にやりなさい


(SE:ビーチチェアがぎしっと鳴る)

(正面、近)

レディを待たせるものじゃないわよ

塗りの腰がないようにたっぷり付けてね


(SE:オイルを塗る音開始)

んんっ……んっ……はぁ……

このゲーム、すごいわね……

オイルの感触がしっかり伝わるわ……

そのまま……ん……肩からだんだん下に下りていって……

んぅ……ん……あ……あぁ……

ふぅ……はぁ……んっ、ふふっ♪

こら、ちょっとくすぐったいわよ

羽の根元は敏感なんだから気を付けなさい

はぁ……はぁ……♪

腰の方は……もう少し強く……んぅ……

手に力を込めてもいいわ……

あっ、そこ……背骨の所……いい感じ……

私の腰……細いでしょ……?

蜜蜂みたいに美しくて……ふぅ……はぁ……

人間がいくら努力しても届かない美の極致よ……

それに触れるなんて幸せ者ね……

ついでにお尻にも塗ってもらおうかしら♪

ふふっ、冗談よ

そこに触ったら水平線の向こうまで殴り飛ばすわよ

今度は太ももをお願い

なによ? そこは私でも濡れるけど、

ちょうどいい召使がいるんだから使わない手はないでしょう?

あぁ……ん……んぅ……

なんだか手つきが…やらしー気もするけど……許してあげる……

ふぁ……ふくらはぎも……隙間なく塗るのよ……

その後は……足の指の間……

うっ……そこ、くすぐったい……

んぅ……召使の癖に……生意気な塗り方をするわね……

あ……あぁ……んぁ……


(SE:オイル塗り終了)

も、もういいわ!

腕とお腹は自分でするから!

コホンッ、それよりそっちはどうするの?

自分で背中は濡れないでしょ?

ふっふっふっ、喜びなさい

特別にこの私がオイルを塗ってあげるわ

そこに座って、こっちに背中を向けなさい


(右、密着 有声ささやき)

すぐ終わるからじっとしてなさいよ♪

(SE:オイル塗り音開始)

ぬ~りぬ~り♪ 両肩からじっくりオイルを広げていくわよ♪

はぁ♪ はぁ♪ ふぅ♪ んんぅ♪ 

人間の肌にべたべた触るなんて初めて♪

ゲームの中だけど体をしっかり再現してて、

こうして見るとあんたも男なのね♪

筋肉があってゴツゴツしてる♪

もっと力を入れた方が良い?

ぎゅっぎゅ♪ オイルをしっかり塗り込まないとね♪

なーに? 私は普通に喋ってるだけよ♪

耳元で喋られると困る理由でもあるの?

ほーら、背中がテカテカになって、

まるで焼かれる前の七面鳥みたいよ♪

背中を上から指がつ~っと下りていくとどうなるのかしら♪

あっ、肌がゾワゾワしてる♪


(左、密着 有声ささやき)

上の方は終わったから次は腰に塗っていくわね

手の平にオイルをよく練り込んで、

ぬるるる~♪ ふぅ♪ はぁ♪ はぁぁ♪

ちょっとオイルを使いすぎちゃったかしら♪

手の平に結構余ってるのよね♪

ついでに、お腹の方も塗ってあげる♪

遠慮するんじゃないわよ♪

ほーら、手を前の方に回して、ぬ~りぬ~り♪

ふふっ、この凹んだところはおへそ?

ここにも塗っておいてあげる♪

おへその中を指でくるくるくる~♪

はい、終了~♪


(SE:オイル塗る音終了)

(正面、近)

あとは一人で出来るでしょう?

私も残った所は自分でするわ

これが終わったらしっかり遊ぶわよ

太陽が昇った時の海で遊ぶなんて初めて

このゲームはどんなことができるのか、

ちゃんと教えなさいよ♪

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