吸血鬼少女は棺でデートする

M.M.M

第1話 棺から仮想世界へダイブ

(SE:洋館の扉が開く音)

(SE:足音が1~2秒。主人公が入って来る)


(正面、遠)

こらー! 早く閉めなさいよ!

私が朝日を浴びたらどうなるかわかってるでしょ!?


(SE:扉が閉じる音)

(SE:ばさっばさっと羽ばたく音が徐々に大きくなる)

(ボイスがだんだん近づいてくる)

まったく。吸血鬼の家に朝から訪ねてくるなんて。

私はこれから棺で眠るところだったんだからね?


(SE:羽ばたきが終わり、床に着地する)

(正面、近)

せっかく怖いインテリアを置いて人が寄り付かないようにしてるのに

あんたみたいな変な奴が来るなんて計算外だったわ

私、あの恐ろしい吸血鬼よ?


(SE:ヒロインが高速移動し、ゴウッと突風が吹く音。右側から足と床がこすれる音)

(右、密着 有声ささやき)

こうやって簡単に背後を取れちゃうし、

その気になればあんたを指一本で吹き飛ばせるんだから♪


(SE:コツコツと足音がする)

(ささやき終了。ヒロインが正面に移動しながら)

まあ、こうやって脅かしてるのに全然気にしないんでしょー

吸血鬼と遊びたいとかホント意味わかんない


(SE:足音終了)

(正面、近)

で、今日は何を持ってきたのよ?

その荷物、私に見せに来たんでしょ?

またホラー映画のDVDを見せて私の反応を伺うつもり?

私にエイリアンの映画を見せるとかどういう神経よ

あれはまあ、ちょっと怖かったけど……

フンッ! あれは部屋が暗かったせいよ!

はあ? 悲鳴なんて上げてない!

変な事言うとその首をかぷーっと噛んじゃうわよ!

今日は部屋に照明を付けるから絶対に……って今日は映画じゃないの?


(SE:荷物を取り出す音)

なに、これ? ぶ、ぶいあーる・げーむ?

最新型のゲーム機ぃ?

これを頭にかぶると……ふんふん……

仮想の世界が本物そっくりに感じられるの?

匂いや味覚まで……それ、大丈夫なの?

ゲームの世界から出られなくなったりしないわよね?

こ、怖くなんてないわよ!

でも、なんでこんなゲームを……

もしかしてだけど、私に昼の世界を体験させたいってこと?

この装置を使えば……ふーん、ちょっと面白そうじゃない♪

よーし、私の部屋に行くわよ!

あ、前に見たいに転ばないでよ

人間は暗い所で目が見えないよわよわな種族なんだから


(場面転換)

(SE:部屋のドアを開く音)

さあ、私はやり方を知らないんだからあんたが装置を付けてよ

まず頭にこれを被るの?

このスイッチを押して……


(SE:キュイーンと起動音)

わっ! なんか光ってる!

脳波……? そういうのを読み取ってるの?

私の身体を計測って……なんか怖……くはないわよ!

私が怖がるなんてありえないから! 

よくわからないけど、待ってればいいのね?

ゲームを始める時はどんな姿勢になればいいの?

なるべく柔らかい物の上で楽な姿勢に……ふーん

じゃあ、いつもみたいに寝ればいいのね

あんたもそこの棺の中に入りなさいよ

はあ? あんたもそれを付けてゲームをするんでしょ

特別に私の棺で寝かせてあげるわ

最高級のマットを敷いてて、とっても気持ちいいのよ

ほら、つべこべ言わず入るのよ!


(SE:ごそごそ音)

(やや右、密着)

うん、二人でも全然問題なし

棺の蓋も絞めるわよ

ゲーム中に吸血鬼を狩るハンターがやってこないとも限らないし

あ……言っとくけど、あんたが襲ってきたら

私の爪でスパッと切り落としちゃうからね?

何を? ふふふっ、なんでしょうね~♪


(SE:ゲームの開始音)

ああ、準備完了したみたいね

なんかキラキラした文字が浮かんでるけど、この後は?

身体を楽にして……この矢印を動かすイメージ……

あっ、本当に動いたわ!

スタートのところでクリックすればいい?

じゃあ、ゲーム開始よ!

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