変愛(へんあい)じゃねえし

クライングフリーマン

変愛じゃねえし

 ======= この物語はあくまでもフィクションです =========

「さか、まっきくぅん。」

「はい。何でしょう?」

「小郡先生の担当、お前だったよね。だったよね。だったよね。」

「はい。何でしょう?」

「大事なことだから三回言いましたああ。お前さ。ちゃんと読んでる?」

「読んでる?」

「小郡先生の原稿をさ。」

「読んでます!」

「これで、印刷回せないよねええ。誤字脱字のチェックは、お前らの仕事じゃ無かったっけ?」

「おま・・・私達の仕事です。」

「じゃ、何で、『恋愛(れんあい)』の箇所、二重線引いて、訂正してるの?『変愛(へんあい)』に。ウケ狙ってるの?小郡先生が嫌いなの?後者の場合は、担当変えるけど、レポート用紙10枚に理由書いて。」

「いやあ、そのう、間違ってるなあ、と思って。小郡先生、誤字が多いから。」

「んんんん?いつから『変愛(へんあい)』がデフォルトになったのかな?石坂〇次郎先生の『青〇山脈』に『へんしい、へんしい』って、主人公が手紙に書いて笑われるシーンがあるよね?石坂〇次郎先生を『リスペクト』する積もりで『ギャグ』入れたのかな?小郡先生の作品でさ。」

「石坂先生って、みと・・・。」

「ち、がーうぅ!!」

「お前、何星人?地球人じゃないよね。ヒーロー呼んで倒して貰おうか・・・って、違うわっ!!」

「もう一度、『校正』します。」

「当たり前だあああああ!!」


 坂巻は、編集長がトイレに行った隙に、全て書き直した。

「読めば分かるだろうに。」

 他の社員達が、坂巻の前に来て首を振った。


 その後、1時間半後。

 坂巻が10枚のレポート用紙を出した。

 文中に出てくる『恋愛』の部分は全て『変愛』だった。


 編集長は、坂巻の机の周りにチョークで線を書いた。

 そして、『依り代』を設置した。

 小郡先生がやってきた。

 小郡先生は、編集長に事情を尋ねた。

 納得した小郡先生は、「いいネタ貰った。あ、担当違う人でいいよ。」と言って去って行った。


 坂巻は、ある書類を書いて、封筒に入れ、編集長に渡した。

 その封筒には、「退職表」と書いてあった。


 編集長は、心臓麻痺で亡くなった。


 ―完―

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変愛(へんあい)じゃねえし クライングフリーマン @dansan01

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