14.邪神の正体
『天に悪しき神あり』──
神々の世界には、人間にとって、良い神だけではなく、悪い神もまた同時に存在する──そういう意味の言葉です。
今から話すことは、私・阿弥陀如来が、神の視点から見た、邪神の正体についてです。
邪神のことについては、冒頭で、みかる氏に少し話しましたが。
邪神の正体については、まだ説明不足でしたね。
邪神の正体──それは、人間に対し、天災や疫病、あるいは戦乱などの、災いをもたらす、神や精霊──あるいは、悪霊のことです。
これらの存在を消し去ろうと、災いを祓うことを目的とした習俗──儀式や祭典は、世界各地に見られます。
人間は、あらゆる方法で、邪神と向き合い、戦おうとしてきたのですね。
まず、まゆうさんに取り憑いていたのが、恋魔という邪神。その名のとおり、恋愛感情で悩んでいる人間に取り憑き、その美魂を奪い、心臓を食べようとねらう魔物です。
そして、ねいろさんに取り憑いていたのが、嗤魔という邪神。この邪神は、クケケケ、キケケケ、と、気味悪く嗤うことが特徴です。『死にたい』と思っている人間に取り憑き、嗤いながら、その気持ちを強めます。
邪神が、ウソ、まやかし、怪力、七変化などの、あらゆる手を使って、祓われまいと抵抗してくることは話しましたね。
まゆうさんには、ウソ。ねいろさんには、怪力。
そして──最もおそろしいのは、邪神には、すべてを束ねる、闇の総大将がいるということです。まだ、姿は現さないようですが……。
……みかる氏を、あみだくじで【阿弥陀如来職務補佐】に選んだのは、まぎれもなくこの私です。そんな私がこんなことを言うのは、とても心苦しく申しわけないのですが──。
果たしてこの先、みかる氏は、おそろしい闇のチカラを持つ邪神に対し、無事に【あみだぶつ】を唱え続けることができるのでしょうか? 私は、不安でなりません……。
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