疲れている3人(家族)

日没廻廊

疲れている3人(家族)

七十年同じこと言う父はテレビ反応型自動発声機


父の声は5m離れると聞こえるモブだから思い出もモブだった


父は寝て母待ちくたびれてゴミ箱に行き遅れた朝のビール缶


喉に笛を突っ込んだ幼い私を語りだして母は楽しそう


母の切った胃に奉納したつもりで冷蔵庫の余った米は捨てる


好きだよね母が放置して痛む前に仕方なく食べたくるみあん


解く気はないのに難問を突きつける落ちて絡まった母の抜け毛


強い風が閉じ込められたシャワーの隙間から母の独り言


物言わぬ父の視線を無視してはテレビの「衝撃事実発覚」で空間を埋める


何かがあった方が良いので急がないサイレンの先




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