第29話 魅惑魔法
「どうすればソーサラーになれるんですか?」
「おいってば! カイト!」
ユーリがカイトに駆け寄った。
「なに簡単だ。私が
「そういうことですか。それは確かに簡単だ」
「カイト!」
あせるユーリ。
「永遠の命がタダで手に入るのだ。しかも、老いることもない」
「それは確かに
「ならば私と来い。お前の
「ボクが永遠に……」
「そうだ。すべての
「束縛から解き放たれる……」
「誰にも負けない魔法使いになれるぞ」
「負けない……誰にも……」
何か表情が変だ。カイトさん、
「カイト! お前、ふざけんな!」
ますますあせるユーリ。
「さあ。そこのちびっこにかまけている場合ではないぞ」
「ちびっこ?」
カイトさんがわれに帰った感じの声を出した。
「オレはちびっこじゃねえ‼」
「あれ?」
カイトさんがユーリの方を見て笑顔になった。
「はは。ユーリは確かにちびっこで気が短くておバカですけど、これでもいろいろ優秀なんですよ?」
「カイトそれ、けなしてるのかほめてるのか、わかんない!」
ユーリが口をとがらせた。
「ほめてるんだよ」
「ホントかよ……でもよかった。一瞬あせったぜ、カイト」
「ボクはやっぱりこいつ、ユーリと一緒に人生を歩んで……年を重ねていきます。お誘いは遠慮しておきます。永遠なんて……」
「ぐうっ。なぜ……」
「
「ぐっ」
「不覚でした。ボクにもソーサラーの素質があるってことですよね」
「ならばなぜ!」
「あなたの『ちびっこ』という言葉で目が覚めたんです」
「だからそれ、ほめてないって!」
ユーリが怒る。
「こいつ、ユーリは……ボクの闇を照らす希望の光なんです」
「え?」
ユーリが不思議そうな顔をした。
「永遠って
「むう。わかったようなことを。それなら死ね! マギア・テッラエ・グロブリ!」
男がそう叫んで杖をかかげると、周囲にいくつもの魔法陣が浮かび、赤く焼けた
「マギア・デフェンシオニス」
カイトさんは冷静に
焼けた固まりは上空ですべて爆発した。
「マギア・トゥルビニス!」
カイトさんがすかさず呪文を唱え、今度は巨大な竜巻が男に襲いかかった。
「インヴェルシオニス!」
男がそう叫んでつえを振ると竜巻が方向を変え、校庭のサッカー部員たちの方に向かった。
「まずい!」
カイトさんは急いでほうきを飛ばした。
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