第11話 敵はクラスの中に?

 夕食を終え、私は自分の部屋に戻った。


【アカデミア・マギカ】

 スマホで検索しても出てこない。当たり前か。陰陽師だって本当のことはネットに出てこないし、似たようなものかも。でも、学校があるってのはすごいなあ。


【ラテン語】

 インド・ヨーロッパ語族のイタリック語派に属する言語……なんだかよくわかんないけど、ヨーロッパの古い本はラテン語で書かれてるらしい。魔法の教科書とかもラテン語なのかな。私にはぜったい無理だなあ。


 トントン。ドアをたたく音がした。


「桔梗さん、ちょっといいですか」――カイトさんだ。

「あ、はい。どうぞ」


 ドアを開けてカイトさんが入ってきた。女の子の部屋に男子を入れるってのはどうかと思ったけど……まあ、王子様だからいっか。「ユーリくんは?」

「時差ボケで疲れ果てたって言って、崩れるように寝ちゃいました」

「ああ……はは」


 教室で寝てたのは時差ボケだったんだ。ってことは二人、日本に来たばかり? 

 アカデミア・マギカって人使いが荒いな。あ――「魔法使い」使いか。それにしても、カイトさんはさすがだなあ。


「そうだ。公園でテント張ろうとしてたって言ってましたけど、荷物はどうしたんですか?」

「ああ。ボクらの背負いかばん、魔法でかなりたくさんの物が入るんです。着替えとかお金とかも」

「へえ、便利ですね」


 そんなことだろうとは思った。ユーリ、ほうきもそこから出したのかな。


「杖だけは肌身離はだみはなさず持ってます」

「え? どうやって?」

「小さくして耳の中に」

「耳の中?」

「はい。何があっても瞬時に取り出さなければならないので」

「なんかすごいですね、魔法使いって」


「ああ、はは……それで、さっきの話の続きなんですが」

「あ、はい」


「ボクが放った追尾ついびの矢が行き着いたのは体育館の裏でした」

「屋上から見えない場所だったんですね」

「はい。ソーサラーはそこで矢を振り切って瞬間移動したみたいです」

「そうなんですね」


「それと……ソーサラーはボクらが屋上に行くことを知っていたのではないでしょうか?」

 カイトさんの表情がきびしくなった。


「え? ってことはまさか教室にソーサラーが⁉」

「ええ。桔梗ききょうさんのクラスの一人の可能性があります」


「それ、かなり怖いですね……でも、みんなを疑いたくないなあ」

「ああ、それは……」

「あ、カイトさんのせいじゃないですよね。仕方ないです」


「すいません。それで、作戦を考えました」

「え?」

「今度はユーリのイリュージョニスを正しく利用します」

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