第3話

その日から、僕は少し変わってしまった


仕事中にいつもならしない失敗をしたり、バルで普通に話しかけるのに凄く緊張するようになった


あまりにも失敗が続いて、みんなに心配されてしまった


優しい店主のルースは僕に言った


「何があったのかは知らないけど、明日はゆっくり休んだ方がいい」


「すみません、そうさせてもらいます」


僕は仕事を休ませてもらう事にした


忙しそうなバルの音を聞きながら、ベッドで横になっていた


考え無くて良い事まで考えてしまい、ひどく疲れていた


長い時間、ゆっくり時間をかけて考えて気がついた事があった


僕はメアリーが好きかも知れない、そう思った


そう気づいてからは、順番に自分がどうすればいいのか何を伝えるべきかを決めるだけだった


バルも学校も休んで、一日中考えた甲斐があった


夜、久しぶりにゆっくり眠る事が出来た


朝、起きて階段を降りて行くと心配そうな顔があった


お礼を言って、僕は笑った


「もう、大丈夫です」


バルで仕事をして、学校にもいつも通り行った


仕事前に、アンナと話しをする事にした


好きな人がいると謝った


彼女は少し、無理をして笑った


僕も少し緊張しながらお礼を言った


仕事中にメアリーに話しかけるチャンスを探したけれど、忙し過ぎて無理だった


仕事が終わってから、明日話したい事があると伝えた


メアリーは明らかに緊張していた


「都合が悪ければ、違う日でもいい」


「大丈夫、また明日」


メアリーは慌てて部屋へ帰って行った


まだ何も言って無いけど、もう分かっているのかな?と思った


その日は、少し眠れなかった


朝からいつものように過ごして、夜になった


今日はメアリーの調子が、もの凄く悪かった


いつもしない失敗をしたり、珍しくコップも割ってしまった


「少し休んだ方がいい」


ルースや他の皆んなが言ったけれど、メアリーは休まなかった


仕事が終わって、片付けが落ち着いた頃にメアリーを店の外に誘った


人通りは少なくて、星がキレイに見えた


メアリーは目を合わせようとしなくて、心配になった


「体調が悪いなら、早く休んだ方がいい」


メアリーは首を振った


明日にしようかと悩んだけれど、僕は彼女に告白した


メアリーは泣き出した


僕は困った


何も涙を拭くものを持っていなかった


謝る?抱きしめる?どうしたらいいか迷った


するとメアリーが僕に言った


「ずっと好きだったから、凄く嬉しい」


僕はメアリーを抱きしめた


「良かった、ありがとう」


彼女が泣き止むのを待ってから、店の中に戻った


誰も店の中には居なくて、挨拶だけして僕達は自分の部屋に戻った


次の日の朝、ルースに話さなければと思いベッドを出た


朝の挨拶をしてすぐ、気分の良さそうな店主は僕に言った


「よろしく頼むよ」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


僕は頭を下げた


メアリーが姿を現したので聞いた


「もう話したの?」


彼女は嬉しそうに、笑って言った


「パパが1番喜んでる」


僕は驚いてルースを見た


彼はにっこり笑ってウィンクした


すぐにメアリーを見た


彼女め凄く嬉しそうに笑った


僕は凄く幸せな気持ちで1日を過ごした


そしてそれは、次の日からも続いた












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