第23話 White utility

その後は地獄であった。


生存者は

「田守龍希」「ヤミ」「桜ヶ丘三空」「アオイ」

「クロ」「天瀬天」

計6名だった。

仙波雄一郎。エレキは死亡、他下級戦士29名が死亡し、本拠点周り12000名、地下鉄乗車員250名が死亡。

合計12790人の死亡が確認された。


「状況を整理したが、やはり。敵陣営と考えられるのは「新馬六連」と「ルーヴル」と思われる、そしてひとつ引っかかるところがあるんだ」

そう、雄一郎が追い求めていたが、姿を見せずにどこかに隠れ潜んでいた人物

「「シオリ」だ、雄一郎はシオリを追い求めて六連を追いかけていた。結果的には姿を表さず、雄一郎も死亡した、」

その瞬間、その場にいた全員が床に視線を移動させた。


「……まだわかってないことは沢山ある」

仙波雄一郎の安否

事実上では脂肪と確認されているが、ルーヴルによって死体を操られている可能性もある。

そしてその場にはエレキの死体は見つからなかった、エレキの体は持ち帰られている可能性もある。

「次にどう動けばいいのか分からないな」

龍希が考え込んた表情を見せていると、ヤミが肩に顎を乗せてまるで違う空気かのようにゆっくりと話し始めた

「目的はなんなの?六連なのかルーヴルなのか」

「そもそもお前はなんで突然正気を取り戻したんだ、六連は驚いているように見えた。おそらく想定していなかった自体だ」

そう、おそらく操られていたヤミ

首を切られたがその直後に俺が死なないことをわかっていたかのような口ぶり

つまりあれは……

「あれは演技ってやつ、私は信じたんだよ、君がその場で覚醒して死なないことも。機獣神化のさらに上にたどり着くことも分かっていた」

俺が達した至高の領域の事を誰も認知していない

「……あいつらはどこまで知っているんだ、機神化、機獣神化。あの状態の引き金も分からない」

すると腕を組んでいる天が口を開ける

「私も六連が言うに機神化していた、そもそも私は龍希君に助けられて正気に戻った。その状態や正気を戻す引き金も分からない」

分からないことだらけだ


───東京駅前


「避難先はやっぱ人が多いなぁ、この状態でも仕事をする日本人が怖いよ」

品川区から避難していた多くの人間が仕事をし慌てふためき歩き回っている状況を見て、龍希は安心の息を吐いた

「…………ヤミ。来い」

するとどこからともなくヤミが上空から来る

「どこにいたの?」「丸の内駅舎の上に乗ってた」

当たり前のように変なところにいて絶対に聞こえていない俺のボソッとした声を聞いてすぐに降りてくる

「俺はお前が怖いよ」「?」

ぽかんとした表情を浮かべたヤミを見てクスッと笑う

「良かったよ、ヤミが無事で本当に良かったって思う」

ワシワシと頭を撫でる

「なんだよ急に……」

頬を少し赤らめ照れながら撫でる龍希の手を振り払う

「?あれは何?」

ヤミが見つけた人間は一目見るだけでわかった、あいつは人間では無い

「どこどこ……」

ヤミが指さした先を見るとそこには輪を頭の上に浮かべた髪の長い金髪の女の子がいた。

アンダーリムのメガネに首にかけることが出来るようになっている細いチェーンがかけられている

かなり遠くにいる、だがその綺麗な髪のなびき方、全てがわかった。

「天使?」

「……!?龍希君!!!」

ヤミが叫ぶど龍希の上空には光り輝く巨大な矢が頭部に向かって高速で飛んできていたことに気がついた

ギリギリのところでかわすと地面に大きな穴を開ける

「っ……クソっ……!?」

おいおいおいおい!?!?いくら地面を削るとはいえ深くに行きすぎだろ!!

マントルへと到達するのではないかと勘違いしてしまうほど、深く深く大きな穴を開ける。

体感は15秒、ヤミが追いかけているように後から穴に落ちていくところが見える。

龍希は腕で防ぎながら足で踏ん張り耐えているがその衝撃でどんどん地面が削れていく

「って、なんだこれ?!」

龍希が驚愕するとすかさずヤミも

「え、なんなんだこれは……」

放心をする

削れた地面の先には、大きな町があり、さっきまで削れていた地面を見返すと穴が埋まっているかと思うと空が映し出されているかのような、立体に見えるかのような水色が広がっている

「なにこれ!?」

ヤミが驚くと矢が消えて地面へと叩きつけられるように落ちていく

ヤミを抱えて地面に大きく衝撃で砂埃を発生させながら着地をする

「何処だここは……砂漠なのに地面は固いぞ、ピラミッド?らしき建物も見えるな」

「うん、ここがどういう場所かは分からないけど、地球の中心部に近いところには別世界が広がっていたことには驚きだね」

ヤミは感心している、驚きよりは興味津々のように見てるように感じる

「……やぁ田守龍希君。ヤミ君。」

すると上空からゆっくりと羽を広げた人間が降りてくる

それは先程の金髪の女の子、いや。女の子のように見えた男の子だった。

「ようこそ地天界へ、地獄と天国の狭間に生み出された落ちこぼれの国」

すると大きく手を広げ、待っていた砂埃がなくなり景色が開ける

腕で目を隠し砂埃が目に入ることを防ぎ、風が無くなった頃に景色を確認すると、驚愕した

サグラダファミリア、東京タワー、ピサの斜塔、浮島、マグマの湧き出る巨大山、真横にある大きな雪山

現実とは思えなかった、先程の天使が発した地獄と天国の狭間という言葉が妙に納得できた。

「White utilityへようこそ、歓迎しよう」


「私の名前はWhite Cinderella ルージュ。天使だ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る