第24話 Savor the white despair

「こんにちは。僕はWhite Cinderella、ルージュと名乗ってるんだ」

当たり前のように付いている羽、天使の輪?

ゆっくりと羽化していた体を地面に足づけると

「田森龍希、ヤミ。君たちは僕たちの英雄になる人間だ」

え?英雄?

「どういうことだ?説明が足りなすぎる。俺たちは急に落とされて訳分からないところに来たんだ」

龍希が訴えかけるとヤミも加わる

「そうだよ、しかも今私たちの国はかなり危険な状態なんだ。一刻も早く戻らないと行けない……」

すると察していた答えかのようにニヤッとルージュは笑う

「大丈夫だ。少し解説を入れよう」


「この世界は、時間の流れがとても遅い。

現に僕たちが話しているこの5分程度の時間、上の世界では瞬きをする程度の短い時間、いやその半分程度かな?

僕が君たちをここに呼び寄せた、無理やりという形になってしまったのは謝るが、かなりこちらとしても重要なんだ。」


「それはと言うと?」


「僕たちのこの国、」

するとルージュは後ろに手を伸ばし後ろにある大きな街を示すように指さす

「僕たちの国『テスカトリポカ』だ。」

するとヤミは首を傾げて思い出すように顎に指を当てる

「テスカトリポカ?ってなんか聞いたことあるけど」

「君たちの世界でテスカトリポカがどのように伝わっているのかは分からないが、僕たち地天界の中では大きな町として伝わっている」

ゴホンっと喉を鳴らし先程の話の続きを話し出す

「僕たちの世界で1日が君たちの世界で1時間だ。時間に関しては安心して欲しい」

「安心は出来ないが、少し話を聞くくらいな……ら……」

龍希が発言をし終わる前に謎の煙のようなものが鼻から吸い込まれる、紫色の洗脳作用のある煙だと思われた

不思議なことに、ヤミは気づかない、見えないが正解であろうか

「なら安心だな、もっと具体的な話を聞かせてくれ」

「ちょ、ちょっと龍希君?」

ヤミは多少なりとも違和感を感じた、先程の警戒心丸出しの龍希の口調が柔らかくなった

反論はできないが違和感を抱いたまま話を続ける


その先の話はスムーズに進んだ

「僕たちの国、テスカトリポカを守って欲しいんだ」

「守る?」

「ケツァルコアトルというこの世界を牛耳ろうとしている強大な力を持つ者、それが簡単に言う僕たちの敵だ」

「つまり……ケツァルコアトルから国を守ればいいってことか?」

「話が早くて助かるよ、そう。俺たちのテスカトリポカの国王であるお方はもう年老いてしまい力を使えない」

「その空いた穴を補うために無理やり連れてこられたのが俺らって事か……」

「ちょっと龍希?なんでそんなにスラスラ承諾しちゃうの……」

「時間はあるんだ、断る理由も見つからないだろ、何より、国を守れば戻れるかもしれないだろ?」

「ま、まぁそうだけど……」


─────1日後


時間は淡々と過ぎていく

まるで寝ていたかのようにいつの間にか、2日。3日。4日。5日。6日。1週間。

気付けば、いつの間にか7日間が経っていた、龍希は同室になりバディとなった「横山三根」。

そしてその横山のシルバである「ウォルウォート」はヤミと同室になりバディとなった

1週間の時間で絆は深まって行き、信頼を勝ち取って言った

どんどん連携のクオリティは高くなり、戦闘もやりやすくなって言った


そして今日。地上から降り立ってから7日間がたった今日

ある災害が訪れる


「ケツァルコアトル!!!ケツァルコアトルだァァァァ!!!」

カンカンと警報音がなり国全体に鳴り響く、


「ケツァルコアトル!?お前ら!戦闘態勢になれ……今すぐだ!」

「「「「了解!!!!」」」」

ルージュが呼びかけると俺たち4人は一斉に声を上げ足を踏み出す


───2時間後


「……………嘘だろ……」

龍希はその場に立ち尽くしていた、そうすると体から力が抜けて、地面に膝をつかせて倒れ込む

「「龍希!!!」」

ルージュとヤミが走り近くに寄ってくる、頭から血を被った龍希を見て2人は絶句をする

「俺たちは別区を任せられたけど、龍希の他のふたりは!?三根とウォルウォートは!?」

……

俺は無言だった、たった7日間なのにこんなにも絶望するのか、『2人の死』を。


横山三根 ウォルウォート 死亡。


─────地上世界



「田森龍希。ヤミ。彼を重要指名手配犯に任命します」

地天界では1週間。現実世界では7時間が経過していた。


「うぁぁぁぁ!!!!やめろぉ!」

「崩れてくる!逃げろ!!!」

駅が崩壊している、瓦礫が崩落する、下敷きになり血が吹き出す、頭蓋骨が粉砕される音が鳴り響き血飛沫がそこら中に吹き出すと、瓦礫を紅に染めていく。

「嫌だ………助け……」

泣き叫ぶ子供の声、助けを求める親子の声、声も出ない状況で涙を流す姿。


「目撃情報。その場の指紋などから導き出された犯人像は『田森龍希』と『ヤミ』だ。2人を重要指名手配犯にする」


違和感を抱かなかったのはシルバ軍全員だ

「おかしいぞ!?田森隊長とヤミ総隊長があんな事変を!?」

「嘘に決まっている!田森隊長とヤミ総隊長に話を聞かないといけないだろ!?」

「田森隊長とヤミ総隊長は!?」

「確かに姿が見えない……」

「もしや本当に反旗を翻して逃亡……?」

『そんなわけない!!!!』

一人の力強い声が鳴り響き、ザワザワとしていた空間が静まり返る

「三空副隊長……?」

「龍希隊長とヤミ総隊長がそんなことをすると思えるのか?思えるものは前に出ろ。私が頭を消し飛ばしてやる」

その威厳はヤミ総隊長に引けを取らなかった。


「これより!編成部隊を変更する!その任命式を開始する!」

声を張上げる、三空は以前の戦闘により気合いの度合いが変わっていた


「これよりこの場をシルバ軍改め、TYS操作部本部局とする!!!!」


『TYS本局-東京都品川区-』


特等捜査官『桜ヶ丘 三空』

准特等捜査官 『クロ』

上等捜査官 『天瀬 天』

一等捜査官 『アオイ』

一等捜査官『湯島 翠』

二等捜査官『ジョーゲイ』

二等捜査官 『雪森 豊』

三等捜査官 『田中 悠々』

三等捜査官 『イーブル』

一等兵 『その他240名』

二等兵 『その他350名』


大きな声を張り上げ、三空宣言を終えるとはニヤッと笑い

「これより、田森龍希隊長。ヤミ総隊長の捜索を開始する!!」

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