第18話 triumphant return
「私達は…いや、私はただ単に人質に取られている人たちを助けるためにあなたを倒さなければ行けない」
「殺すつもりなどない。あなたを殺せるとも思っていないし殺す勇気なんてない。それはそこにいる君のSilver Variationもわかってたんじゃないかな」
エレキは人差し指をクロの方に向けて優しい笑みを見せた。
俺は不覚ながらも殺したくない、倒したくない、と思ってしまった
でもダメなんだ。俺が倒れてしまってはこの世界が危ない。
何百人の人を殺して世界を救うか、何百人の人を助けて世界を殺すか、分かりきっている決断なのにここまで渋ってしまうのは何故だろう
近づいてきたクロが肩に手を置き言った
「結論は決まってるんでしょ、さっさと言いなよ」
「でもクロ……出来るのか俺に」
「悩む暇があるなら手を動かしなよ、止まってても。考えてても状況は変わらない」
「でも、口に出すのが怖いんだ、正しい選択なのか。後悔するのがあとなのは手遅れだ」
「だったらなんなの?」
クロは冷酷にそう告げた
「私たちの会話を待ってくれている、そんな人達が悪い奴らには見えない」
「言え、言葉には魂が宿る。その魂は誰にも消せない」
すると雄一郎は力がみなぎるかのように目にハイライトが強く入り。
金髪に金色の稲光をまとった機神化の状態になった。
「よく聞けお前ら!!!!!俺の名前は仙波雄一郎、ナーヴェストヴル!!!」
「俺らお前らを救って、俺も救う!そして世界を救う!!!」
みんなは顔を見合せて不安な表情を浮かべた。
若い人から子供まで、老人までが巻き添えを食らっている。
「……でも出来るのかよ!!!」
1人の中学生らしき子供が大きく声を出す
「俺たちは六連のせいで首に爆弾を付けられてる!!!どんなことをしても壊れない!そんな俺らを助けれるのかよアンタは!」
雄一郎は正直手がすくんだ、すくんだと言うより誤魔化していた不安が押し寄せてきた方が強い。
「そんなこと何とかして終わりだ!!!!俺を信じてくれ!!!」
エレキは言う
「私達はあなたを倒す。任務ですので、」
雄一郎は視線を床に動かし落ち込んだ表情を見せる
「ですが、その間に私たちを救えるというのなら」
手を胸に当て、死んでいた目が生き返るかのように光が戻り生気に満ち溢れる
「お願いします、私たちを助けてください」
雄一郎も胸に手を強くあて、その後にエレキに向かって拳を突き出した
「当たり前だ!俺は死なない!だから遠慮せず任務を遂行しろ、その任務を断ち切ってやる!」
エレキは笑った、それを見た雄一郎も笑った
「それでは、命という重りが乗っかった手合わせ。お願いできますか」
「あぁ、その重りなんて跳ね返してやる」
同時に地面を蹴り向かい合わさって剣と拳が交わり火花を散らす。
足から手に、手から足にエネルギーが伝わり熱を帯びる感覚がある。
お互いが本気、だが殺す気は無い。雄一郎は救うことを、エレキもまた救うことを考えていた。
「さて!どうやって私たちを救ってくれるんですか!」
刀と拳で殴り合いながら会話をする
「たった今1つの提案が考えついた!!!」
首輪型の爆弾は首輪全体が爆弾な訳ではなかった、最低限の力で命を絶つことができるよう、頸動脈が断ち切れるような小さな小型爆弾が首輪に埋め込まれている形になっていた。
「簡単なこと、首輪は壊さなくていい!!」
「えっ!?ならどうやって!!」
雄一郎は自分の首を指さして
「爆弾本体だけぶっ壊してやる!そして全員ハッピーでフィナーレだ!」
ひとつでも爆弾解除がみんなの目に映れば、俺のことを信用し。全員の爆弾解除が可能になる。そう考えるが六連は考え無しに人質を取るような男ではなく、もっと卑劣で下衆な男だ。
なにか裏があると考える
「待って!!!!エレキ様の首輪の後ろ!」
「お前の後ろも!!」「私も!?」「はっ!?!?」
みんなが慌てふためく、何故だろうか。
その理由はすぐに分かった、一瞬で理解し一瞬で行けるのか?と不安に狩られた
「全員の後ろにタイムリミットが書いてある!エレキ様はあと10分だ!!」
「私は2時間!」「俺は50分!?」「お前は1時間だぞ!」
「……どうやら私が1番短いらしいな、私の余命は10分か、さらに伸びるか。君に全てかかってるって事かな?」
「何をそんなに余裕ぶっこいて……!?」
エレキの手は震えていた、恐怖していた
「でもどうでもいいんだよ!」
雄一郎は笑った、下に下がっていた口角を無理やり上にあげた
「あと5分!5分で解決して2分で解除してやる!!!!」
クロは何かを準備している片手間でその言葉を聞きニヤッと笑った
「遅いよバカ。雄一郎は強いんだからさ」
「もっと勇気持ってよ!金色の暴君!!!」
「さぁ!!俺が英雄になって、戻って来る姿を想像しといてくれ!!!」
その時に叫んでやるんだ、テレビでもネットでも中継して世の中に知らしめてやれよ
「俺が英雄の凱旋になる!!!!」
すると向きをエレキに変え、首元の爆弾だけに全神経を集中させる。
「行くぞ……」「あぁ、」
エレキは察したかのように手を広げて動く素振りを見せない
「おらっ!!!!!!」
これほどないくらいに地面を強く蹴り、拳ではなく人差し指と中指を突き立て手刀のような形にさせる
「英雄よ、どうかこの凱旋門を。」
──『勝利の栄光門にしてくれ』──
その指は爆弾にピッタリと直撃し、爆発を起こした
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