第10話 過去
地上では噂が噂を呼び、ニュースによる影響も大きく凶悪殺人鬼として元地球に追放されたと実質死刑のような刑が執行されたことも広まっていた。
だが龍希もヤミもそれを知る由もない、なぜならその頃は龍希は研修に研修を重ねて身体訓練をしているところだった。
「ねぇ聞いた?あの事件」「見た見た。地球追放になってほんと良かったよね!」
「裁判にかけられて死刑になったからって裁判官殺したんだろ?イカれてる……」
間違ったことも正しいことも全てネットと口を伝って広まっていくこの世の中、炎上したら逃げ場はないのと同じ、顔と名前が晒されていれば尚更。
「………雄一郎?」
ニュースを見ていた三空は呆然した、雄一郎が地球追放となったニュースをだ。
「雄一郎がそんなこと理由もなしにするわけが無い、絶対何かあったに違いない!」
三空は走り出した、そこは刑務所だった。
「ここの死刑執行部屋の隣に地球へ繋がるトンネルがある、生きて帰れるかは分からないけど……」
するとヌッと青髪の女の子が顔を出した
「大丈夫だよ三空、私が三空は守る。」
「ありがとうアオイ……助けよう、雄一郎を!」
────銀の暴君本拠点。
「一員って……あんたらは!?」
すると銀の暴君の4人は大笑いした
「アッハッハッハッハッ!お前面白いな!気に入った!」
え?どこが気に入ったん?
そう口に出すのをグッとこらえて雄一郎は尻もちついていた体を起き上がらせ、上を見た、
すると上から一人の女の子が落ちてくる。
その女の子を抱え受け止めると、
「シオリ!大丈夫だったか?」
「は、はい!なんか私が雄一郎のお父さんたちを殺したとか言われて落とされました……」
「あのクソゲス野郎が……シオリは関係ねぇだろうが!!!!」
「その子、君のSilver Variation?入りなよ、寝床と風呂くらいなら用意してやるよ」
黒髪の女の子に手を引かれて建物の中に入るとそこはとても地獄とはかけ離れていた小綺麗なところだった。
シオリは目を見開き部屋中をみながら
「こ……ここはどこなのですか?」
黒髪の女が2人の女と2人の男を手招きして呼び出し、全員は並んだ。
「私たちは銀の暴君。君たちと同じだと思うけど、裁判で死刑以上の判決を食らって落とされたもの同士だよ」
「君たちの話を聞かせてよ、何があったの?」
俺らは事の全容を全て話した。
────────────────────
「そんなことが………ごめんね、嫌なことを思い出させてしまった。」
「いやいや!!助けてくれたのに状況を教えていないなんておかしいので!」
俺はそこでみんなと打ち解けた。シオリも同じ育成学校の生徒についてきたSilver Variationの仲間たちと仲良くなって言った。
俺は一生ここでもいいと思った、あの家なんかよりよっぽど楽しい。
稽古もつけてくれるから俺もシオリも学校なんかよりよっぽど強くなれる。
俺はただの人間だけど、シオリには負担をかけたくない。
だから俺自身も強くらないと………!!
そんな気持ちを心にずっと抱き続け、1ヶ月の時間が経った。
その時は、もうシオリはいなかった。
「君に、伝えないといけないことがあるんだ。」
急に畏まった黒髪の女性。「クロ」が言った。
「何さ急に畏まって?告白かな?」
俺らはどんどん仲を深めて言った。正直俺はこの人の事が……
「そんなんじゃない、私は、もうすぐ死ぬ。」
え?
俺の頭の中は空気のようにからっぽになったと思った。
「え……なんでよ、え?なんで?」
クロは下に俯きながら死んだ目をして言う。
「死ぬと言うよりは、私が私ではなくなる、私の脳に埋め込まれた父さんのチップによって正気を失う。」
「……解決策はないのか?手術するとか、アイツらのSilver Variationの能力で治すとかさ!」
「解決策は簡単なんだ。私はここから出て遠いところに行く」
「なんで?」
「私のチップがどんどん成長していくのはSilver Variationが近くにいると電気が伝わって成長していくんだ、だからアイツらと決別する。」
「なんで俺だけに伝えてくれるんだ?」
「私は、一目見たときに雄一郎を助けようと思った。」
「え?」
「なんか分からなかったけど、惹かれたんだ、助けたいと思った、仲良くなりたいと思った。一目惚れってやつだったんだけど」
「それって……」
「雄一郎、お前のことが好きなんだ。だから私に着いてきて欲しい、トレーナーのお前には出来ない選択なのはわかってる。だから言いたかっただけだ」
すると後ろに振り向き、背中を見せ歩き出した。
「待って!!!」
すると急に体が動いた、クロの腕をつかんでいたんだ。
「え?」
クロは困惑した口調で振り向き俺の目を見た
「俺も好きです、だから着いていきます。」
ドタッと崩れ落ち涙をながすクロがそこにはいた、この子も女の子なんだなと胸がキュッと締め付けられた感覚だった。
「でもひとつお願いします!シオリに会わさて、言いたいこと言わせて欲しいです!」
「お前はいらない、消えろ」
俺はシオリに最大限嫌われる言葉で全てを突き返した
後ろも向いていた俺は泣いていた、涙が勝手に出ていた
「ごめんな……」
クロはそう言うと俺の体を抱きしめてくれた、その体は柔らかく暖かかった。
俺とクロは姿を消した、銀の暴君は建物諸共Silvervoidに破壊され、品詞の状態をさまよっていた
「なんで……急に襲ってきた!?」
「やっぱりクロさんだ、何か結界でも張っていたと思うのに、急に姿消すから……」
「雄一郎……トレーナー……なんで……トレーナーも私を突き放すの……」
「……!?シオリ!!!???」
シオリはSilvervoidの大群に突っ込み、その後姿を見たものも、探そうとしたものもいなかった。
その後にわかったことだが、そこには死体が4人の死体が転がっていたらしい、そこにはシオリと思われるSilver Variationの骨は残っていなかった。
そしてこれも後にわかったことだが、クロの正体はサイボーグで
「すごい!!そんなことが出来るなんて、!」
鎧を纏った、女だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます