私達たちが力を合わせれば、きっと何とかなる！　そう思いながら回復魔法をひたすら唱え続けた。アランとステファニーは、すっかり疲れ果てた感じになっていた。

フレッドの体の傷はまだ完全には塞がっていないが、二人の治療の結果なんとか生命の危機は脱した。

「ん……？」

――数時間後、しばらく何も食べてなくて猛烈な空腹感に襲われてフレッドが目を覚ました。すぐそばのベッドで横になっているアランとステファニーを見て、ありがたく感じて思わず涙が出そうになってしまった。

「……痛っ……」

フレッドの全身は傷だらけになっていたが、二人のおかげである程度治った。しかしまだ完全には回復していないので胸に鋭い痛みを走った。自分の胸に手を当ててみると、まだ傷が治ってなくて血のにじんだ包帯が巻かれていた。

「なんで……？　そもそも防御魔法がかかっていて私は無敵だったはずなのでは？」

フレッドは疑問を抱き始めていた。ステファニーの回復魔法で体が完全に癒えていると思っていたのに、どうしてまだ自分の体に傷が残っているのか？

そのときフレッドの頭に突然に閃くものがあった。自分はステファニーに守りの魔法を付与されていたのだ。それなのに何で深い傷を負っているのか？　そして、魔物たちに囲まれて袋叩きにあってよく助かったと思う。

「フレッド」

アランはゆっくりと目を開けた。何となく隣に顔を向けると親友が上体を起こしていたのだ。それを眺めて思わず声を上げた。

「……アラン……ありがとう……もう絶対に離さないからね」

呼ばれて視線を向けたら、アランがとても嬉しそうな顔で涙を流していた。二人は歓喜が胸に込みあげてくる。フレッドも涙が頬をつたって流れ始めた。

そして生きていることの喜びを深く感謝した。すぐに近寄ってフレッドはアランを思いっきり抱きしめた。そして優しく呟きました。

「良かった……本当に無事で良かった。君がいなくなったらと思うと怖くて震えて、俺はどうすればいいのか答えが見つからなかった……」

アランは幸せな気持ちで純粋な涙が止まらなくなり、嬉しくて鳥肌がたってしまった。二人はしみじみとお互いの大切さを噛みしめて、長らくそのまま黙って触れ合っていた。二人の心はぴったり通じ合っていました。

「――ちょっと！　私、さっきから起きてるんだけど……？　相変わらず二人は気持ち悪いほど仲が良いわね……」