勝者の憂鬱
どうも。アルデバランです。
今、俺は保健室っぽいところにいます。
先程、隣に学院長がいて、憤怒と驚愕の色に染まった顔をしておられてました。
学院長が言いたいことは「君のせいでアナトリアの首輪が外れた。これから彼女の対応策を考えないといけないんだよ分かるかい?」ということだそうだ。
この後、学院側一部のお偉いさんからめちゃくちゃ褒められた。
曰く、「彼女の横暴ぶりには辟易としていた。鬱屈とした思いを抱いていたのだが、君のおかげですっきりした。君は私の恩人だ。・・・・・これからの辛い辛い辛い会議がなければ・・・ね」
そのお偉いさんは俺の治療費を払ってくれた。めちゃくちゃ優しい!!
今の俺?
上から下まで包帯でぐるぐる巻きです。
何でも魔法使っても相当治療期間を設けなきゃいけないそうで・・・実質的な休学ですはい。
学院のお偉いさん以外にも多くの人が俺の元を訪れた。
例えば、アマゾネス出身の女子生徒からの来訪。
学年問わず言っていることは大体一緒だった。
「あの暴君(女帝)を倒していただき感謝します」だそうだ。
そんで、泣きながら握手された。特に、一番上の学年の人との握手が一番印象的(物理)。振られ過ぎて、腕が脱臼した。やろう、ぶっころす。
さらにマイア姉含めた姉さんたちにめちゃくちゃ世話された。
マイア姉さんにはなぜか首を絞められ、武闘派姉さんからは肩をたたかれ脱臼し、末の姉さんからは好きな本を数冊買ってもらった。ラッキー!!
他に一番印象に残っているのはあの厚顔狐女・・・女史マーキュリーが一人で来たことだ。
会話まですべて覚えている。
「何しに来やがった?」
「私はただ薬をもらいに来ただけですよ」
「嘘つけ」
「嘘ではありませんよ。この前と違って言葉使いが荒いの気のせいでしょうか?」
「貴女の心が荒れているからでは?」
「何て言いましたか?」
「心が――」
「何か言いましたか?」
「御心がきれいな貴女様にわたくしがそんなこと言うはずないじゃないですかぁぁ」
「よろしい」
「やっぱり心がすさんでやがる(小声)」
「何か?」
「いえ、なにも」
「何しに来やがったのですか?」
「言葉遣い・・・・あの暴君、いえ暴虐女帝を倒した人に興味を抱いただけですよ」
「先ほど薬をもらいに来たとか言っていませんでしたか?」
「記憶にありませんねぇ」
「・・・・・」
「はぁ、私でも倒すのが困難なアナトリアを倒したとあれば来るのが道理では?」
「なぜため息?そして、嘘つくんじゃねぇよ」
「嘘ではありませんよ。まぁ、あのスピードがなければ圧勝なのは確かですが」
バサッ!!
「これは?」
「私、偶然にも・・・・、そう偶然にも・・・・あなたと同じ履修内容なんですよ」
「・・・・・」
「私からの見舞いだと思って受け取ってくださいな」
「・・・・チッ」
「やっぱり持って帰りましょうか」
「!!あなた様のご慈悲を賜れることいたく感動する限りでございます」
「よろしい」
「・・・厚顔女狐め」
「何か?」
「いえ、何も?」
「私は帰りますね。目当ての薬も手に入れたことですし」
「けえれけえれ」
「・・・・そうそう。お目当ての魔法は見つかりましたか?」
「・・・それ分かってて言ってるだろ?」
「フフッ。それは失礼しました。見つかるといいですね。その魔・法とやらに、では失礼」
◆
どう考えても知っているような口ぶりだったんだよなぁ。
アイツが術者だったりして・・・・まさかな。
暇だし、あの厚顔狐女女史にもらった虎の巻でも読むかぁ。
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