リレー小説「俺が運命の人らしいけど多分それ、幼馴染。」
最悪な贈り物@萌えを求めて勉強中
第1話 両手の花とツタに絡まる俺
コンクリートで舗装された道路。
家々が立ち並ぶ住宅街。
「はぁ〜…眠…」
あくびを1つして、目を擦る。
先程まで熟睡していたせいか、まだ目元には眠気が張り付いていた。
俺の名前は
至って普通の男子高校生だ。
そして、俺は今、「中川」と刻まれた表札の家のチャイムを鳴らした。
チャイムを押して、2、3秒待った後、目の前の扉が開いた。
「おはよう、タツキ。」
出てきたのは、青く染まった涼し気な色のウルフカットをした美少女だった。
全体的に細い身体と胸元だけは張り詰めた服。
笑顔は無いが、少し頬あたりが薄く桃色になっており、クールとも言えない表情。
しかしながらも、一瞬見ると美少年のようにも見える彼女の名前は
俺の保育園時代からの幼馴染で、小学校から高校まで全て同じ学校に通っている。
青髪のその少女は今は美少女であるが、昔はというと、それまた美少年だったらしい。
「あ、私のプレゼント、付けてる。」
リョウは俺の首元にある青い宝石の埋め込まれたネックレスを見て言った。
「え?ああ、まあな、お前がくれたプレゼントだし付けなきゃ失礼だろ。それよりも、昨日の宿題終わったか?」
「え、昨日の…宿題…?」
リョウはキョトンと首を傾ける。
「初めて聞いたみたいな反応だな…レポートだよ、レポート。地理のレポート。」
すると、リョウは「あ、あれのこと」と思い出したかのようにバックの中を探る。
次の瞬間には、リョウはバックの中から1枚のレポートを取り出し、口は笑っていないが、目を輝かせて、自慢げに渡して来た。
見てみると、レポートの紙はぎっしりと文字で満たされており、5枚ある紙の行は全て埋まっていた。
「な、なんだこれ…チャットGPTでも使ったのか…?」
「違う…!!私が全部書いた…!」
「これを…?お、お前が…?す、凄いな…」
説明を加えておくと、リョウのテストの平均点数はいつも赤点。
勉強には無頓着過ぎてテスト前は勉強を全くしないという猛者。
もちろん、補修常習犯である。
その前提を踏まえて、リョウのこれを見よう。
レポート5枚。
つまり、約2000文字。
赤点のリョウが!?2000文字!?
「これは明日にでも雪が降るかもなぁ…」
「むー…」
すると、俺は横に居るリョウがこちらをじっと見つめていることに気付く。
「え?あ、なんだ…?」
リョウは、何も言わずに俺の胸へと飛び込んできた。
その俺よりも少し小さい体。
しかしながら俺のお腹には柔らかいモノの当たる感触。
「ほ、本当になんだ…?」
「私…頑張った…」
「へ…?お、おう…」
「撫でて…」
「へ…?お、おう…」
俺はその胸元にある美少女の頭を撫でる。
頭を撫でると、リョウは猫のように目を瞑って撫でられる。
なんか小動物みたいだな。
「ストレス…全部吹っ飛んだ。」
リョウは俺から離れると、キリっとした目、いつもの「クールに見えるモード」になった。
「あ、そういえば私忘れ物した。ごめん取ってくる」
リョウは、俺に言うと踵を返して先程まで通っていた道を戻る。
俺はそのリョウの背中に「さっき行ってるぞー」と言って、歩き始める。
昔からリョウは案外スキンシップはあった。
しかしながら、リョウももうすぐで女子高校生。
そろそろ親離れ…いや、幼馴染離れをしないと大人になれないというもの…
俺は少し寂しさを噛み締めつつ、目の前の角を曲がる。
「さてと…もう少しで学校____」
「あ、危なーい!!!!!」
角を出た瞬間、どこからか声が聞こえて振り向く。
「え?」
そして、振り向くと背後にはピンク色の髪の美少女が俺に向かって突進。
その突進してくる少女は、足元にある石に躓いたのか既に空中へと投げ出されており、空を浮くのはジャムの塗ってあるパン。
「マジかっ!!!!!」
息を飲み込んで力を入れる。
その、美少女を俺は受け止め、そして、某、蜘蛛のヒーローのように、空中から降ってくるパンを齧って受け止める。
が、しかしながらも少女を受け止めた反動を抑えきれず、後ろへと倒れてしまう。
「い、痛た…だ、大丈夫ですか!?って…か、かっこいい…」
「ん…?」
俺は口にくわえたパンを片手に持ち替えて起き上がる。
「え、えっと…とりあえず…はい…これパン」
とりあえず、俺は少女に空中を飛んだパンを渡すと、少女はなぜか顔を赤くして、「あ、ありがとうございます…」と答えてからパンを食べた。
パンを食べながら俺の顔を覗き込んでくるのは、ピンク色の長い髪をした少女だった。
ふわりと揺れる髪と優しい香水の香り。
丸くクリっとした目と純粋無垢な瞳。
それとは対象的にバランスよく膨らんでいる胸とスリムな体型。
しかしながらも下半身は案外むっちりとしたスタイル完璧、ルックス完璧というリョウのような少女。
いや、これはリョウ以上か…?
「あ、ああ…俺は大丈夫だ…その…そっちは?」
見た所、リョウと制服のデザインが同じことからウチの学校と同じらしい。
でも、こんなに美少女なら流石に噂の1つや2つは耳に入るはず…
じゃあ、転校生か…?
「ご、ごめんなさい…私…大丈夫じゃないみたい…その…胸が凄く苦しくて…」
「え…?だ、大丈夫か!?」
俺は、起き上がって、その少女を見る。
しかし、少女に異常は見当たらない…
あえていうのであれば…それは顔全体が真っ赤に染まっていることくらいだろうか……
「あ、あれ…そのネックレスって…もしかして…!!」
すると、少女は俺の首に掛けているネックレスを見ると、何か驚いたような表情をする。
それは目の前で奇跡が起こったような、そんな顔。
「私の…運命の人…!」
「え?な、なんで…」
困惑している俺に少女は胸のボタンを少し外して、俺と全く同じのネックレスを出した。
「やっぱり!!!私が買ってあげたお揃いのネックレス!やっぱり!!あなたは運命の人!!」
少女は告げるや否や、立ち上がって俺のことを抱きしめる。
本日2回目の柔らかいモノが当たる感触。
なんだ?今日俺死ぬのか…?
「あー…と、とりあえず離してもらえるか…?その…俺は運命の人じゃないだろうし…」
「運命の人だよ!!!」
少女は俺の肩を掴んで、激しく否定すると自分のポケットからペンダントのようなものを取り出した。
「ほら!!!君の幼い頃の写真!私持ってるんだからね!!!!」
少女は、ペンダントの中を開く。
その中には青い髪の美少年の写真が飾られていた。
無表情に近いその顔と、クールな顔つきに青い髪…
な、なんか見たことあるような…?
「あ、あれ…?これ俺の幼馴染じゃね…?」
「……そんなことないよ!!だって、私の心が絶対あなただって言ってるんだもん!!!」
「は、はぁ…」
「そ、それに!昔約束したよね!私達結婚しようって!」
「え…?記憶に無いんだが…?」
「子供も沢山作ろうって約束したよね!!」
「マジで記憶にないんだが…?」
「と、とりあえずさぁ…手とか…繋いでも良い…?」
「は…?いや…なんで…?」
しかしながらも、俺は流れに逆らうことが出来ずその名前すら知らない少女と恋人繋ぎをする。
「い、今はまだ恥ずかしいけど…その内に…キスとか…しようね…」
頬を赤くしながら、上目遣いで小さく呟く少女。
やばい…普通に可愛い…
こ、このまま付き合っても…
「え…た、タツキ…何してんの…?」
すると、そこに青い髪の美少女その2こと、リョウが目を大きく広げながら立っていた。
「あ!こ、こいつ!!!俺の幼馴染!!!見覚えない!?」
「全く無いね!」
まさかの自身たっぷりの表情なのか、ニッコリ笑顔で答える。
「それよりも、タツキって…あなたの名前…?」
「え…あ…はい…そうですけど…」
「タツキ」
リョウは珍しく眉を顰めて俺に責め寄る。
無言の圧をひしひしと感じ、俺はヘビに睨まれたカエルのように、ピタッと止まってしまった俺。
何故かぶたれても仕方無い…
なんて思う程の剣幕。
もはや死を覚悟したその時、リョウは以外にも何故か俺の腕に貼り付くだけで終わった。
「へ…?りょ、リョウ…さん?」
「ちょ、ちょっと!!!タツキくん!何してるの!!!」
すると、名も知らぬ少女はぷくーっと頬を膨らませて、近寄る。
「貴方の名前は?」
そしてリョウは少女を睨みつつ問う。
個人的に名前を聞くタイミングを見失っていたから丁度良かった…
少女は自身の胸に手を当てると威嚇するように睨んだ。
「わ、私の名前は
リンカは俺をまるでリョウから引き剥がすように引っ張り、俺の左腕を抱える。
「違う!タツキは私の専用の甘えさせられ人…!私がタツキに甘えるの!」
リョウは又もや、俺の右腕に貼り付いた。
発音こそはフラットだが、いつものリョウよりも少し強い言葉。
「ん〜〜!!!!!!」
「んんん…!!!!!」
美少女達が俺の両腕にて、睨み合う。
「ねえ…!タツキ!」
「どっちが良いの!?」
両サイドから責められる美少女達の可愛らしい声。
まずい…!!!!これ以上は俺のメンタルが耐えられなさそうだ…!!!!
「と、とりあえず…学校行こうよ…?」
美少女2人を両腕に登校する。
文字通りの両手に花状態。
にしても…リョウ…
俺は、あのペンダントに入っていた青い髪の少年を思い出す。
あの写真…リョウの幼少期だよな…
それにこのネックレス…リンカが買ったお揃いの奴って言ってたよな…
俺はただ…リョウにこのネックレス貰っただけだし…
つまり…状況を整理すると…俺は今、運命の人と勘違いされてリンカが俺と結婚しようとしてて…それでリンカの運命の人はリョウで…リョウはなぜだか俺を独り占めして俺に甘えようとしている…?
とりあえず、なんか複雑な三角形?ができたわけだ…
と、とりあえずリンカに運命の人はリョウだと伝えなければ…!!
「私ね!タツキと結婚したい!」
「え…え?」
「だめ、タツキは私のモノ。」
「え⋯ええ?(笑顔)」
「「んん…!!!」」
ま、まあ…今じゃなくても良いよな…!!!
本作主人公、一人称、俺。二人称、おまえ
普通の思春期男子高校生なので、女の子に猛アピールをされたらコロッと落とされる性格。
いろいろな性格を持ち、面倒事だとしても誰かが困っているのならば首を突っ込んでしまう性格。
好きなものは、美少女、プラモ、特撮、ラノベ、イチヂク
嫌いなものは、茶色のGと熱いもの
猫舌。妹が1人居る
ヒロインその1、一人称、私、二人称、あなた、君
表情の変わらない少女で、クールビューティー。
幼馴染であるタツキに対してご存知の通り好意を寄せており、独占欲がある。中学の時にタツキを狙うライバルが出現し、そのおかげか、いつのまにか距離の詰め方が常識を超えた。学校では女子からも人気があり、常に冷静さを保っているが、頭は良くないため、少し抜けているところがある。しかし、直接的な表現はしないが、いつもタツキにべっとりなので、周りからは非公認カップルとなっており、家事スキルなども備わっていることから、学生結婚勢とか呼ばれていたりする。いつも玄関の前でタツキを待つため、チャイムを鳴らすと、2、3秒で出てくる。
好きなものは、タツキ、プラモ、ゲーム
嫌いなものは、運動、タツキを狙う女子、ピーマン
未だにピーマンは食べられない。プラモデルは塗装をするまでに高度な技術を持っている。
FPSゲームを基本的にする。
ヒロインその2 一人称、私、二人称、あなた
誕生日、2月22日
イメージとしては天使。4歳の時に親の仕事の都合にて引っ越しをしている。その時に、婚約をしていた青髪の少年をタツキだと勘違いしている少女。
最近また引っ越しをして、戻ってきた。なので、転校生。
タツキには一目惚れしており、頭が良いので知的な策略を繰り出す。ストレスが一定以上溜まると、IQが爆下がりする。中学の時は彼氏を1人も作らず、心に決めた人が居ると言って告白を断っていたため、「孤城のお姫様」と揶揄されていた。占いが好きで、タロットカードなどを嗜む。ちなみに占いをすることもでき、常にタロットカードを持っている。タツキと出会った日は星座占いで1位だったらしい。
好きなものは、タツキ、運命、占い
嫌いなものは、幽霊、化物、迷信
なお、この3人は「起眞市立起眞高等学校」の「1年生」
追記
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