第2話 溝埋

「ねえ!見て見て!折り紙でツルを折ったんだ。」


「まあ!素敵ね、よくできているわ。」


温かい母の手は、僕の頭を優しく撫でてくれた。


「逆上がりできるようになったんだ。見ててね。」


「すごいわ!頑張ったのね。」


綺麗な母の声は、僕の心を満たした。


「これ学校の成績。あのね僕頑張ったんだけど………。」


「言い訳は要らないわ。こんな子どもに育てた覚えはありません。」


「………ごめんなさい。」


母は、次第に僕を結果で見るようになった。


「僕、音楽が好きなんだ!ピアノも弾けるようになったよ。」


「そう。それじゃあ将来はアーティストにでもなるの?」


違う。


「俺、ミシン使えるようになったわ。要らない服あったらリメイクしてあげるよ。」


「ありがとう。ところであなた、もう高校生だけど服飾の道にでも進むの?」


違う。違う。違う。


俺はただ………。

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天津罪 ファシャープ @Fasharp2

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