第2話 溝埋
「ねえ!見て見て!折り紙でツルを折ったんだ。」
「まあ!素敵ね、よくできているわ。」
温かい母の手は、僕の頭を優しく撫でてくれた。
「逆上がりできるようになったんだ。見ててね。」
「すごいわ!頑張ったのね。」
綺麗な母の声は、僕の心を満たした。
「これ学校の成績。あのね僕頑張ったんだけど………。」
「言い訳は要らないわ。こんな子どもに育てた覚えはありません。」
「………ごめんなさい。」
母は、次第に僕を結果で見るようになった。
「僕、音楽が好きなんだ!ピアノも弾けるようになったよ。」
「そう。それじゃあ将来はアーティストにでもなるの?」
違う。
「俺、ミシン使えるようになったわ。要らない服あったらリメイクしてあげるよ。」
「ありがとう。ところであなた、もう高校生だけど服飾の道にでも進むの?」
違う。違う。違う。
俺はただ………。
天津罪 ファシャープ @Fasharp2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます