麗奈POV

許せるわけがなかった。なんで怒ったかはわかっている。なんで私のことを押したのかもわかっている。それでも、淵が死んでしまったのは、啓斗のせいなんだ。私は、啓斗はそんなことで怒らないと思っていた。思っていたんじゃない。確信していたんだ。ノートを読む限り啓斗はそういう人ではないとわかっていたから。でも私が間違っていたんだ。人は変わるんだ。「ねぇ淵、私どうしたらいいの?」泣き叫んでも返事はなく、夜で半月の光が窓から溢れた部屋の中に、私の声が反響しているだけだった。

私は学校にすぐに行き始めた。学校に行くと淵のことが思い出されて辛かったけど、自分の家にずっといる方が辛かった。色々考えてしまうからだ。啓斗は全然来ることがなかった。被害者のつもりだろうか。そう思っていた。だが三ヶ月も来なかったので、流石にムカついてきたので、一言言ってやろうと思い、啓斗の家に行った。

ピンポーンと鳴らすと啓斗のお母さんが出てきた。前見た時は明るいお母さんだったが今は、疲れていそうだ。肌のトーンが暗い気がする。「まぁ、麗奈ちゃん。上がって上がって。」何か言いたそうな顔だったが堪えたようだ。「ありがとうございます。失礼します。」と言って上がって啓斗の部屋に行った。

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